PR

ニュース コラム

【朝晴れエッセー】しあわせはいつ・11月10日

 妻と2人で散歩に出かけた。天気も良く、体調もよかったので、いつもより遠くまで足を延ばした。

 初めての町に来た。昭和の面影を残す古い町並み。高い建物はなく。木造瓦葺(かわらぶき)の二階建てが立ち並ぶ。道幅は狭くないが、車はほとんど通らない。そぞろ歩きには打って付けだった。

 二階建ての小さなアパートが現れた。部屋数は二階も含めて10室だけ。一階の左端が入り口になっている。各部屋の番号が書かれた郵便受けが並んでいて、その奥に二階へ上る階段が見えた。

 入り口の鴨居(かもい)部分に、ひらがなで「しあわせはいつ」と書いてある。「幸せハイツ」だと思った。

 きっとオーナーは、入居者たちの幸せを願って命名したのだろう。その思いをくんで入居者たちも、幸せな気分で暮らしているに違いない。私はそう思った。

 ところが妻は「あら、このアパート、『幸せは、いつ?』と書いてある。このアパートの人たちは皆、幸せが来るのを待っている人ばかりなのかしら」と言う。

 私は「なるほど、そういう読み方もあるのか」と思った。

 持っていたスマホで、「しあわせはいつ」の文字を写真に撮った。その写真を行きつけのカラオケ店や居酒屋に行くたび、常連客たちに見せた。

 ほとんどの人が「幸せはいつ?」と読んだ。「幸せハイツ」と読んだ人は少なかった。世の中には、幸せが来るのを待ち望んでいる人の方が多いのだろうか。何となく、そう思った。

鯨岡正 80 大阪市平野区

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ