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【主張】豚コレラ防疫 連携強め重層的な対策を

 飼育豚に対する豚コレラのワクチン接種が始まっている。13年ぶりの接種であり、当面は120万頭が対象となる。

 感染拡大に一定の歯止めがかかると期待されている。政府は適切な接種計画策定と接種率向上にまずは努めてほしい。

 無論、これだけでは十分でない。ワクチン接種は予防策の一つにすぎず、併せて養豚場や食肉市場の衛生管理強化や、感染源の野生イノシシ対策を重層的に進める必要がある。

 その効果を高めるためにも、農林水産省や環境省など複数省庁の縦割りを排し、国と地方、養豚農家が一体となって対策を進める体制を確立しなければならない。

 ワクチン接種は岐阜県や愛知県などで始まった。岐阜で豚コレラが発覚してから1年後の接種である。養豚農家は早々に接種の必要性を訴えたが、接種で日本が国際獣疫事務局(OIE)が認定する「清浄国」でなくなることを懸念する農水省は慎重だった。

 ワクチン接種に限らず、従来の豚コレラ対策が概して一体感に欠けていたことは否めまい。野生イノシシ対策は典型だろう。

 すでに農水省は、ワクチン入りのえさを山に散布する対策を実施している。イノシシ対策には個体数や行動範囲の把握が不可欠である。ところが、野生イノシシを管轄する環境省の情報を農水省が適切に得ていたとはいえず、専門家は、対策が後手に回る要因の一つになったと指摘する。

 環境省が所管するイノシシの狩猟については、実態に応じて都道府県の判断で実施してきた。だが、イノシシからみて県境はない。県ごとに対応が違えば、感染防止も徹底できまい。

 政府は10月、ようやく「豚コレラに関する特定家畜伝染病防疫指針」を改正し、捕獲強化や経口ワクチンの散布などのイノシシ対策についても、国と地方が一丸となって進める体制を整えた。農水省は環境省が行ってきたイノシシの捕獲や検査に関われるようになる。対策の実効性をいかに高められるかが問われよう。

 養豚場の衛生管理も徹底しなければならない。ドイツなど欧州に比べて、日本の養豚場は衛生面の管理が遅れている。人や車の出入りに加えて、ネズミなどの小動物の侵入対策も必要だ。ここでも国と地方の連携が何よりも重要なことは当然である。

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