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【直球&曲球】中江有里 首里城焼失 復元に希望見いだそう

実況見分が進む首里城。黒く焦げた屋根が見える=6日午後、那覇市
実況見分が進む首里城。黒く焦げた屋根が見える=6日午後、那覇市

 10月31日の朝、首里城炎上のニュースに驚いた。沖縄の文化や歴史を象徴する建造物として、これまで何度となく訪れた場所だった。

 曲線を描くような城壁に囲まれた首里城(跡)は、世界遺産としても知られている。小高い山の上に立つ正殿は中国の宮殿建築と日本の建築様式が取り入れられた独特の造りで、赤い色も特徴的。日本には多くの城があるが、かつて琉球王国と呼ばれた地の歴史を物語る意匠は、他のどれとも似ていない。

 先の大戦で、首里城は全て消失したが、国や県が復元を進めて、沖縄のシンボル的な場所となっていた。

 どの城もその地の象徴で住民たちの誇りでもあろう。

 平成28年4月に起きた熊本地震では、熊本城が大きな損害を受けた。地震から1カ月後、仕事で当地を訪れた私は熊本城付近を歩いた。

 私のように外からやってきた者でも、あの熊本城の崩れた石垣や瓦(かわら)を目にするだけで言葉を失う。

 繁華街に接するような立地にある城を日常的に目にする人々は、どれだけ心を痛めただろう。

 今年はフランス・パリでノートルダム大聖堂が全焼したことも大きく報道された。その惨状を嘆くパリ市民の姿に感じ入ったが、首里城の報道に触れて、あの時のパリの人々の表情を思い出した。

 形あるものはいつか壊れてしまう。そう分かっていても、昨日まで、そこにあったものが、今日なくなってしまうことの無常観に慣れている人はそういない。

 特に近年の自然災害には普段ではありえない危機感を働かせた。結果、たとえ自分が無事であっても、一方で被災された人がいると心はふさいでしまう。

 このような不条理ともいえる出来事に、人ははるか昔から対面してきたのだろう。

 そして、歴史的建造物は壊れたり、燃えたりするたびに復元、補修を繰り返して、今に残されてきた。熊本城も、そしてノートルダム大聖堂も復元へと舵(かじ)を切っている。

 その事実は首里城焼失の悲しみに、ひと筋の希望を与えてくれるように思う。

【プロフィル】中江有里

なかえ・ゆり 女優・脚本家・作家。昭和48年、大阪府出身。平成元年、芸能界デビュー、多くのテレビドラマ、映画に出演。14年、「納豆ウドン」で「BKラジオドラマ脚本懸賞」最高賞を受賞し、脚本家デビュー。フジテレビ「とくダネ!」に出演中。文化審議会委員。

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