PR

ニュース コラム

【ソロモンの頭巾】長辻象平 水害への備え「畳堤」 可搬式欧州で利用拡大

 このあたりの揖保川は幅約400メートル。ふだんの河水は堤防の約6メートル下を流れているのだが、この増水時には畳が漬かる寸前まで濁水が迫っていたという。設置から60年以上を経て、初めて迎えた畳堤の出番だった。

 「畳堤の活用は地域の方々による地域を挙げての取り組みです。ソフト面の強化という意味で、水防災社会の歴史的シンボルではないでしょうか」。揖保川を管理する国土交通省姫路河川国道事務所調査課長、前羽利治さんの感想だ。

◆独ではアルミ板

 畳堤は「可搬式特殊堤防」に分類される。英語では「モバイルレビー」。国士舘大学理工学部教授の二井(にい)昭佳さんによると、近年のドイツをはじめとする欧州では、可搬式堤防を用いた治水整備が積極的に進められているという。

 頻度の高いレベルの水位上昇は通常の固定式堤防で、それ以上の洪水には可搬式堤防で対応しようという考えだ。

 洪水への安全を確保しつつ、普段の堤防の高さを低く抑えることで、歴史的都市と川が一体となった美しい景観が保たれる。

 二井さんはドイツとオーストリアで、ライン川やドナウ川水系の諸都市で導入されたモバイルレビーの調査研究を重ねている。例えばドイツ・バイエルン州の小都市ミルテンベルクのモバイルレビーは、畳の代わりに15センチの高さに分割されたアルミ製の止水板を鋼鉄製の柱の間に人力ではめる仕組みだった。

 同様の可搬式の堤防はチェコの首都プラハにも展開されている。2002年の大洪水時にはブルダバ川が500年に1度という水位に達したが、世界遺産に指定されている市街地を守り抜いたと伝えられる。

続きを読む

関連トピックス

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ