PR

ニュース コラム

【ソロモンの頭巾】長辻象平 水害への備え「畳堤」 可搬式欧州で利用拡大

昨年7月の西日本豪雨で濁流が膨れ上がった揖保川。コンクリート柵に畳がはめ込まれ、さらなる増水に備えた(正條自治会提供)
昨年7月の西日本豪雨で濁流が膨れ上がった揖保川。コンクリート柵に畳がはめ込まれ、さらなる増水に備えた(正條自治会提供)
その他の写真を見る(1/4枚)

 大雨で河川の氾濫が相次ぐ中、「畳堤(たたみてい)」を見た。

 川が増水したときに畳を使って防水力のかさ上げをする特殊堤防だ。

 普段は川沿いの堤防上にコンクリート製の柵が並んでいるだけだが、水位が上昇すると畳を1枚ずつ柵に横並びにセットする。

 兵庫県たつの市南部の正條(しょうじょう)地区。市内を瀬戸内海に向かって流れる揖保(いぼ)川(一級河川)の堤防上に畳堤の柵が走っていた。

 水辺の風景を損なうことなく防災力を高めたいという先人の願いが、いまなお生きている。気候変動の現代に異彩を放つ存在だ。

◆欄干に畳はめる

 正條自治会役員の澤村良親さん、圓尾和也さん、古寺敏秀さんらによると畳堤が完成したのは昭和32(1957)年ごろ。

 たつの市内の3カ所に建設されており、正條地区の畳堤は、その1カ所だ。

 同地区の堤防上は車も通る道路を兼ねていて、その川側に全長約250メートルのコンクリートの柵が続く。柵の支柱は胸の高さなので知らない人は転落防止の欄干と思うことだろう。

 だが、よく見るとすべての支柱の側面には上から下まで溝が通っている。

 「この支柱と支柱の間に畳を横向きに、はめ込むのです」と教えられた。

 畳は水を吸うと膨らんで強度も増すので格好の防壁素材だったのだ。いざとなれば各戸から持ち寄れた。土嚢(どのう)を上回る便利さだ。

◆西日本豪雨で初

 昨年7月の西日本豪雨で揖保川は、かつての暴れ川の素顔を見せた。

 「水位はどんどん上昇し続けました」と役員諸氏は同月7日の増水ぶりを振り返る。

 畳の使用を決断したのは深夜だった。保管倉庫から運び出した約100枚の畳を、自治会の役員30人が大雨の中ではめ込んだ。近所の人たちも手伝った。自治会の防災意識は高く、10年前から毎年訓練を続けていたので、その成果が発揮されたのだ。用意していたヘッドライトも夜間の作業に役立った。

続きを読む

関連トピックス

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ