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【一筆多論】証拠に基づく政策の重み 長谷川秀行

文化勲章を受ける旭化成の名誉フェロー、吉野彰さん=28日、東京都千代田区(飯田英男撮影)
文化勲章を受ける旭化成の名誉フェロー、吉野彰さん=28日、東京都千代田区(飯田英男撮影)

 旭化成の吉野彰名誉フェローが今年のノーベル化学賞に輝いた。毎年のように日本人が受賞する姿をみるのはうれしい。それぞれの分野で新たな地平を開いた偉業に触れ、科学を身近に感じる人も多いだろう。

 そんな中で唯一、日本と縁遠いのがノーベル経済学賞だ。候補に挙がる学者はいても、実際に受賞した日本人はいない。ただ、そうであっても経済学上の大きな業績である。そこへの興味はやはり尽きない。

 今年の受賞者は米マサチューセッツ工科大学のアビジット・バナジー教授とエスター・デュフロ教授、米ハーバード大のマイケル・クレマー教授という気鋭の開発経済学者である。世界の貧困をなくすための実証的な研究が評価された。

 往々にして、ノーベル賞の理論がどれほど現実の経済に合うのかは分かりにくい。だが、3人の研究は開発途上国の教育や公衆衛生などに数々の改善をもたらした。貧困削減に貢献した意義は理解しやすい。

 3人は途上国での個々の支援事業について、科学的根拠に基づき効果を評価するモデルを確立した。その道具立てが「ランダム化比較試験(RCT)」という社会実験的な手法だ。例えば無料の予防接種を行ったり、蚊帳を配布したりする際、これを実施する集団と実施しない集団を無作為に選んで結果を比べる。その上で効果や因果関係を厳密に検証するのである。

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