PR

ニュース コラム

【主張】首里城炎上 沖縄に心寄せ再建しよう

 文化財の火災が後を絶たない。沖縄県那覇市の首里城で正殿や北殿、南殿などの主要施設が全焼した。

 焼失面積は、7棟計約4800平方メートルに及ぶ。沖縄のシンボルが暗闇に赤く燃える姿は痛々しかった。文化的のみならず精神的、経済的にも大きな損失であり、残念でならない。

 首里城は、琉球の国王一家が暮らしたかつての王宮で、行政府でもあった。創建年は分からないが、15~16世紀に完成したとみられる。数百年にわたって王国の政治、文化の中心として歴史の舞台になってきた。

 建物は城下町とともに先の大戦の戦火で焼け、沖縄の人々にとって首里城の再建は悲願だった。本土復帰後、国や県が復元を進め、平成4年に正殿などを擁した首里城公園が部分開園している。

 赤く塗られた豪華な正殿は2層3階建てだ。12年の九州・沖縄サミットでは、北殿で夕食会が開かれるなど国際外交の舞台ともなった。同年、首里城跡を含む「琉球王国のグスク及び関連遺産群」が世界文化遺産に登録された。復元建物は同遺産には含まれないが、日中の建築文化を取り入れた沖縄文化を代表する建築物である。

 その県民の心のよりどころが突然失われた。木造建築は常に火災のリスクにさらされている。海外でも今年4月、パリの世界遺産ノートルダム寺院から出火し、尖塔(せんとう)が焼け落ちて世界に衝撃を与えた。少なくとも正殿などにはスプリンクラーが設置されていなかったという。どんな防火対策が講じられていたか検証が必要だ。

 文化庁が9月、国宝や重要文化財の建物に消火設備の設置などを求める防火対策指針をまとめたばかりである。火災を常に警戒し、さまざまな事態に備えておくべきだ。国は対策への助力を惜しんではならない。

 観光立国をめざす日本にとって、沖縄は北海道と並ぶ代表的なリゾート観光地である。首里城公園の昨年度の年間訪問者数は約280万人に上った。

 琉球時代の独特の歴史と文化を今に伝える首里城は、文化的にも経済的にも貴重な日本の資産だ。菅義偉官房長官は「再建に向けて政府として全力で取り組みたい」と述べた。沖縄のシンボル復活に向け、国民全体が心を寄せていきたい。

関連トピックス

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ