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【マーライオンの目】香港デモに垣間見える「無力感」

香港・九竜地区の繁華街にある公園で、集会参加者と衝突する警官隊(共同)
香港・九竜地区の繁華街にある公園で、集会参加者と衝突する警官隊(共同)

 心理学に「学習性無力感」という言葉がある。かつて家庭内暴力(DV)事件の取材で知った言葉だ。現状を抜け出すために、挫折や無駄な努力を長期間繰り返した場合、無力感にとりつかれ、状況を変える気力を失うことを指す。DVの被害女性に多いが、いわば「あきらめの境地」に達してしまう状態だ。

 2度に分けて、香港の抗議活動を計20日ほど取材したが、デモ参加者の発言の変化から、この言葉を思い出した。デモや大規模集会の熱気は変わらない。20日の集会にも34万人(主催者発表)が参加するなど勢いもある。ただ、抗議者に取材すると、「継続」「戦い続ける」といった言葉が聞こえるようになった。誰もが心の底で長期化を意識しているということだろう。

 抗議活動は4カ月以上となり、「逃亡犯条例」改正案こそ撤回されたが、中国政府は強硬姿勢を崩しておらず、事態はほぼ動いていない。学習性無力感が集団に発生するかは寡聞にして知らないが、この状況が続けば無力感が襲う可能性は否めないと思った。

 既に18歳以上の香港市民の42・3%が海外移住を考えているとの調査結果もある。「戦っても無駄」という感覚が一部であるのかもしれない。香港市民が疲れ果てる前に、国際社会が声を上げ続ける必要があると感じた。(森浩)

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