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【風を読む】YOUは何しに北海道へ? 論説副委員長・佐々木類

 慶事に隠れて目立たぬが、注目したいニュースがある。中国の王岐山国家副主席の動静だ。王氏は22日、天皇陛下の即位の礼に出席し、北海道を訪問する。北の大地に対する昨今の中国による執着ぶりは尋常ではない。東京ドーム1千個分を超える水源地の爆買いや自衛隊基地周辺の土地物色など合法的な土地買収が進む。王氏の本当の来日目的は、こちらにあるのではないか-と勘ぐりたくもなる。

 王氏は、習指導部1期目に党中央規律検査委員会書記として江沢民元国家主席に近い政治家を摘発し、習政権の権力基盤構築に貢献した。そんな王氏の北海道入りを知り、李克強首相の顔が浮かんだ。李氏は昨年5月、日中韓首脳会談に出席するため来日したその足で、札幌市、苫小牧市を訪れた。安倍晋三首相が同行した。首脳外交の深奥部には、国民の伺い知れぬ思惑と事情があろうことは分かっている。

 だが、その姿に目まいを覚えたのは私だけだろうか。中国首脳の相次ぐ北海道入りは、中国政府による北海道への影響力拡大を意味するからだ。その核心は、巨大経済圏構想「一帯一路」にある。釧路、苫小牧両港を北極海に抜ける重要ルートとして、拠点化する狙いが中国側に存在する。そうなればわれわれ日本人は、中国船舶が津軽海峡を日に何度も大手を振って航行することを見ることになるのである。

 中国は昨年1月、北極海に関する基本政策「北極政策白書」を初めて公表した。温暖化による北極圏の海上交通路を生かす国家戦略が背景にある。北極海を「氷上のシルクロード」と位置付け、一帯一路のタテ軸として生かすため、アイスランドやデンマーク領グリーンランドで拠点化を急ピッチで進めている。トランプ米大統領がグリーンランドの買収を口にしたのは、こうしたせめぎ合いが背景にあろう。

 昨年は李氏の北海道入り後、在日中国大使館公使ら一行が、釧路市役所を訪問した。公使は釧路市内で「北の釧路、南のシンガポール」と題して講演し、「釧路港を北極航路として有効的に活用したい」などと述べ、一帯一路への理解を求めている。

 王副主席閣下、YOUは何しに北海道へ? 拘束中の北大教授を解放するのが先決だ。

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