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ニュース コラム

【主張】北大教授拘束 政府は早期解放を求めよ

 9月に中国を訪問した北海道大の男性教授が中国当局に拘束されていたことが分かった。スパイ活動など「国家安全危害罪」に関連する容疑をかけられたもようだ。

 消息を絶ってから1カ月以上がたつ。拘束されていた事実と拘束理由の詳細が明らかにされないのはどうしたことか。

 根拠となる事実を公にしないまま人身の自由を奪ったことは、重大な人権侵害で言語道断だ。日本政府は、一刻も早い男性教授の解放を求めねばならない。

 男性教授は9月初め、2週間の滞在予定で中国を訪れた。その後日本にいる家族に電話で「体調が悪くなったから、しばらく帰国できない」と言い残し、消息を絶った。男性教授は日本人で、防衛省の付属機関である防衛研究所や外務省に勤務した経歴がある。準公務員である国立大学の教員の拘束が確認されたのは初めてだ。

 三権分立を否定する中国で、中国共産党の支配から独立した司法判断は存在しない。政治の風向き次第で人身の自由を奪うことは中国のお家芸だ。

 想起するのは、中国の通信機器大手、華為技術の孟晩舟副会長が昨年12月、米国の要請でカナダ当局に逮捕された一件だ。中国外務省は「理由を示さないままの拘束は人権侵害だ」とカナダ当局を批判したが、どの口が言うのか。

 中国当局は2015年以降、死刑を科すことも可能なスパイ罪などで少なくとも、民間の邦人男女13人を拘束した。広州市国家安全局が拘束した大手商社、伊藤忠商事の男性社員は公判中だ。

 習近平政権はしきりに、「法に基づく統治」を唱える一方で「法治」は党の指導下にあるとも強調している。中国による法の恣意(しい)的運用は疑い出せばきりがない。これを抑止するためにも、日本政府は、正確で詳細な情報の開示と拘束中の日本人の早期釈放を強く要求し続けるべきだ。

 22日には、天皇陛下の即位の礼に王岐山国家副主席が出席し、来年春には、習国家主席を国賓として招く予定だ。日中要人の往来が活発化する中、政財界では日中関係の好転が語られている。

 だが、日本人の不当な長期拘束や投獄に目をつむったままでの関係改善などあり得ない。政府が邦人を保護するのは当たり前だ。中国の人権侵害に毅然(きぜん)と抗議し、早期の解放を求めるべきだ。

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