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【宮家邦彦のWorld Watch】トルコのシリア侵攻の意味

トルコ軍の爆撃により黒煙を上げるシリア北東部の町ラス・アルアイン=9日(ロイター)
トルコ軍の爆撃により黒煙を上げるシリア北東部の町ラス・アルアイン=9日(ロイター)

 恐れていた事態が先週、北シリアで始まった。6日の米・トルコ電話首脳会談を受け翌7日、シリアに展開する米軍部隊がついに撤退を開始した。9日夜にはトルコ軍が「平和の泉」作戦と称しシリア北部への軍事侵攻を始めた。攻撃対象はトルコがテロ組織と敵視するシリア系クルド人主体の「シリア民主軍」で、米軍のイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)掃討作戦を成功に導いた、米軍にとっては事実上の「同盟」部隊。これは一大事である。

 ところが日本での報道は意外にそっけなかった。トルコは「トランプ米大統領が事実上黙認したのを受け作戦に踏み切った」、6万人以上が難民となるなど「シリア情勢はさらに混迷を深めている」といった具合。だが、このトルコの軍事侵攻は、シリア情勢の混迷にとどまらず、欧州と世界の安全保障情勢に大きな影響を及ぼしかねない極めて重大な事態である。筆者がそう考える理由を書こう。

 第1の懸念はトルコ自身の行方だ。近代トルコ建国の父ケマル・アタチュルクは1924年にカリフ制廃止、イスラム法廷の閉鎖などを断行しトルコの脱イスラム国家化を進めた。ところが欧州はそのトルコを決して欧州連合(EU)には加盟させない。

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