PR

ニュース コラム

【新聞に喝!】姓・名順表記こだわる愚 インド太平洋問題研究所理事長・簑原俊洋

練習に臨むリーチ・マイケル(上)=9日、東京都内(蔵賢斗撮影)
練習に臨むリーチ・マイケル(上)=9日、東京都内(蔵賢斗撮影)

 今、ラグビーワールドカップ(W杯)が熱い。その日本チームの快進撃を支えているのが、主将で日本国籍を持つリーチ・マイケルだ。彼は、欧米メディアではマイケル・リーチと呼ばれているが、日本のテレビで名字を先に呼ばれるのを耳にするとつい違和感を覚え、9月はじめの政府決定を思い出した。国の文書では今後、日本人氏名のローマ字表記を日本式に姓・名の順とするという。

 この変更を支持する新聞の議論で目についたのは中国も韓国も英語表記の際に姓が先ではないかというものであった。しかし、私はむしろ中韓との差異にこそ日本が両国よりも西洋近代化を積極的に受け入れ、明治維新という名の下で幕藩体制を廃しての大規模な国内改革を可能にした歴史が凝縮されていると考える。近代化を峻拒(しゅんきょ)していたならば、他のアジア諸国のように列強によって植民地化されていた可能性は否定できない。

 明治天皇も時間を待たずに洋装をまとい、髪形も西洋式に改めた。氏名の表記でも西洋の慣行を導入したのは、いち早く欧米列強に比肩したいとの強い思いがあったからであろう。日本は脱亜入欧を突き進む過程で華夷(かい)秩序と決別し、独自のアイデンティティーを築くことに成功した。

 だが、こうした観点から論じる報道を筆者は知らない。思えば、姓名表記の変更より先に是正しなければならないのは、英語の誤用の数々であろう。喫茶店でデザート(dessert)が砂漠(desert)と記されたり、店舗の閉店中(closed)が閉じる(close)となったりしているのをいまだよく見かける。つづりで米式と英式の混在も多い。防衛省や自衛隊でよく用いられる「防衛」はdefenceか、それともdefenseなのか。どちらでも構わないものの、統一するのがルールだ。

続きを読む

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ