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【主張】ノーベル化学賞 電池で地球環境に貢献だ

 今年も心躍る朗報だ。ノーベル化学賞が、旭化成名誉フェローの吉野彰さんに贈られることが決まった。

 化学賞は2010年の鈴木章さん、根岸英一さんのダブル受賞から9年ぶりの獲得だ。

 この10年間は、ほぼ毎年のように受賞者を出している。昨年もがんの免疫療法に関わる研究で、本庶佑さんが医学・生理学賞に輝いたばかりである。

 日本の科学技術力はすごい。アジア諸国の経済的な台頭が目立つ中、日本の産業競争力をさらに飛躍させる原動力としたい。

 吉野さんは、現代の日常生活に欠かせないリチウムイオン電池の開発者だ。

 小型で軽量でありながら高容量で繰り返し充電可能なリチウムイオン電池は、携帯電話をはじめノートパソコンやデジタルカメラなどに使われ、現代のIT社会を実現させる基礎となった。

 すぐれた研究は、連鎖反応を起こすといわれる。1970年代後半に登場した電気を通すプラスチックと、90年代初めに商品化されたリチウムイオン電池の関係がその好例である。

 導電性プラスチックは、2000年にノーベル化学賞を受けた白川英樹さんの発明だ。このプラスチックの登場がリチウムイオン電池開発の出発点となっている。

 最終的に導電性プラスチックは炭素繊維に置き換えられることで、現在のリチウムイオン電池にたどり着いたが、その連鎖反応にノーベル賞が輝いたのだ。

 高性能電池の開発は、うまくいきかけては壁に突き当たることを繰り返したが、吉野さんはあきらめることなく可能性を追った。楽天性と執着性が電池の両極のように機能して研究が続いた。現代の若手研究者にはぜひ、この粘り強さを見習ってほしい。

 日本人科学者のノーベル化学賞は1981年の福井謙一さん以来、吉野さんで8人に達した。理論畑の福井さんを除くと全員が実用性の高い技術の研究だ。

 これからの時代は、環境問題への対応で、電気エネルギー利用の関心が一段と高くなる。電気自動車や家庭の蓄電システムにも高性能の電池が求められている。

 世界が目指す低炭素社会づくりに日本の電池技術を生かしたい。優れた研究力の連鎖反応を若い世代につなぐ道も探りたい。

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