PR

ニュース コラム

【主張】北朝鮮漁船の沈没 「大和堆の守り」練り直せ

 日本の排他的経済水域(EEZ)である日本海の好漁場「大和堆(たい)」周辺海域で7日、北朝鮮の大型イカ釣り漁船が、水産庁の漁業取締船に衝突して沈没した。

 漁船の乗組員約60人は海に投げ出されたが、取締船の救命いかだで全員救助された。後から現れた北朝鮮船に乗り移って立ち去った。

 取締船が全員の救助救命を果たしたことは立派である。海難救助は人道上当然だ。その一方で乗組員を現場で北朝鮮側に引き渡し、事情聴取や身柄拘束を行わなかった対応は疑問である。

 「大和堆」周辺海域は、日本が漁業に関して主権的権利を持つEEZだ。日本と漁業協定を結んでいない北朝鮮に漁をする権利はない。にもかかわらず北朝鮮は違法なイカ漁を繰り返し、水産庁や海上保安庁が取り締まっている。

 今回の衝突は、取締船がEEZからの退去に応じない漁船に放水を始めた際に起こった。

 安倍晋三首相は8日の参院本会議で「引き続き外国漁船による違法操業の防止のため、毅然(きぜん)と対応していく」と語った。外交ルートで抗議したことにも言及した。

 だが、北朝鮮のような無法な国は抗議など何の痛痒(つうよう)も感じまい。乗組員全員を易々(やすやす)と帰すようでは毅然とした対応とはいえない。

 日本は他の海域では、外国漁船がEEZで違法操業すれば漁業主権法違反の容疑で拿捕(だほ)し、船長を逮捕したこともある。なぜこの海域では摘発しないのか。

 政府は、沈没した漁船の違法操業が確認されていないから身柄拘束といった強制措置をとらなかったと説明している。

 だが、取締船は放水を始めていた。「違法操業は未確認」というのは、批判を避けるための後付けの説明のように聞こえる。

 自民党の水産関連会合では「こんな対応ではなめられる」と懸念の声があがった。中国や韓国も日本の弱腰を注視していよう。ロシアは自国のEEZで違法操業する北朝鮮漁船を摘発し、9月以降800人以上を拘束した。

 北朝鮮漁船は、取り締まりが緩い日本側に集まる恐れがある。

 沈没した船の船長や航海長、漁労長、朝鮮労働党の政治委員から違法操業や朝鮮人民軍との関係などの情報を得る絶好の機会を放棄した点も問題だ。政府は「大和堆の守り」を練り直すべきだ。

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ