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【主張】香港警察の銃撃 事態悪化の原因直視せよ

 激しい抗議活動が続く香港で警官の発砲が流血を招いた。警察に不満を抱く市民の反発が高まることは避けられまい。

 一時重体となった高校生は警告もなく至近距離から胸部を撃たれた。これを適正な銃器使用と認めることはできない。

 ここまで事態を悪化させた責任は、林鄭月娥行政長官ら香港特別行政区政府の甚だしい失策と、香港の高度自治を踏みにじり続けた中国政府の強権姿勢にある。

 発砲は、中国が建国70年の国慶節を迎え、北京で盛大な祝典が行われた1日に起きた。

 記念演説で、習近平国家主席は「平和統一、一国二制度」の原則を挙げて香港の「長期的な繁栄と安定」を掲げたが、香港の現状に照らせば空疎な建前としか聞こえない。事態をここまで悪化させた原因を直視すべきである。

 北京の軍事パレードには、米本土を射程に収める大陸間弾道ミサイル「東風41」などの最新兵器をはじめ、対テロ特殊部隊や治安維持に当たる武装警察部隊が参加した。一連の行事には、林鄭氏のほか、デモ鎮圧に「功績」のあった香港の警官も招かれた。

 力による威嚇と、民意の圧殺を称揚する行事で、普通の香港市民が中国に愛国心を抱けるはずもない。「一国二制度」が揺らぐ一方で、中国本土と香港の分断だけは大きく進んだ。

 高校生への銃撃は国際社会に衝撃を与えた。旧宗主国のラーブ英外相は「実弾の使用は不相応」と批判した。リッシュ米上院外交委員長は「建国70年を祝う中国にとり汚点だ」と論評した。

 菅義偉官房長官は「多数の負傷者が出たことを、大変憂慮している。自制と平和的な話し合いを通じた解決を関係者に求める」と述べたが、腰が引けていないか。ここは米英とともに、銃撃をはっきりと批判すべきだった。

 30年前の天安門事件で、国際社会は戒厳部隊による武力鎮圧を止めることができなかった。政権の維持には流血も辞さない中国共産党の決意を見誤ったのだ。この教訓を忘れてはならない。

 香港警察の過剰な警備を戒めることは無論だが、それ以上に警戒すべきは中国政府の介入だ。国慶節前の治安出動は回避されたが、香港で抵抗が続く限り、予断は許されない。国際社会は暴挙の阻止に結束すべきだ。

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