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【一筆多論】昭和天皇のリアリズム 渡辺浩生

 背景には米ソ対立が表面化する中、元帥らが憲法9条で戦力の保持を禁じられた日本の再独立後の防衛は国連に委ねるべきだと唱えたことへの懸念があった。

 9月には寺崎英成・御用掛(天皇の通訳)がGHQのシーボルト外交局長を訪問し、「米国が沖縄および他の琉球諸島の軍事占領を継続することを希望されており、その占領は米国の利益となり、日本を保護することになる」との天皇の考えを伝えた。

 沖縄への米軍の長期駐留により安全保障を確保するという構想「沖縄メッセージ」は、シーボルト局長から米国務省にも報告されたことが、「昭和天皇実録」に記されている。

 軌を一にして芦田均副総理兼外相のもと外務省も独自の構想をまとめた。米ソ関係が改善されぬ場合、再独立後の安全保障は2国間の特別協定で米国に委ね、有事には米軍に国内の基地を提供するのが最良の手段とする「芦田メモ」だ。

 芦田氏は9月、鈴木九萬(ただかつ)終戦連絡横浜事務局長を通じ、米第8軍司令官のアイケルバーガー陸軍中将にメモを託した上、天皇に拝謁し経緯を報告していた。

 筆者は平成27年、遺族らから入手した鈴木氏の日記をもとに、一時帰国した中将を通じて芦田メモが極東委員会委員長のマッコイ少将やグルー元駐日大使ら有力者に閲覧されていた可能性が高いと報じた。戦前に昭和天皇の御用掛を務めた鈴木氏自らが天皇に度々拝謁してメモの行方を報告していたことも分かった。

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