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【石平のChina Watch】習主席「自己否定」の怪

中国の習近平国家主席=6月(ロイター)
中国の習近平国家主席=6月(ロイター)

 16日付の人民日報は1面トップで、習近平国家主席のある「重要講話」の概要を掲載した。5年前の2014年9月5日、習主席が「全国人民代表大会(全人代)成立60周年祝賀大会」で行ったものである。中国共産党機関誌『求是』が16日発売号で全文を掲載し、人民日報も同じ日に一部抜粋で紹介した。

 不審に思ったのは、習主席の5年前の講話がなぜ今になって、共産党機関誌と人民日報両方でクローズアップされたのかだ。『求是』の公式サイトに掲載された講話の全文を丹念に読んでいくと、ひとつ驚きの発見があった。講話の中で習主席は「国家指導層の秩序正しい交代」の重要性を強調した上で、「長期間の努力を通じて、われわれは事実上の指導幹部の職務終身制を廃止し、指導幹部の任期制を導入した」と述べた。

 習主席が取り上げた「指導幹部の職務終身制」とは、主に毛沢東時代に実施された幹部制度である。毛沢東や周恩来ら革命第一世代の指導者は「定年」で辞めることなく、死ぬまで党と国家の最高指導者のポストにいた。

 やっとトウ小平時代になると、政治改革の一環として「指導幹部終身制」の廃止が進められ、高級幹部の「定年退職制」が導入された。新しく制定された憲法では国家主席の任期制限も設けられた。

 上述の習主席講話の内容は、まさに歴史上のトウ小平改革に対する正面からの肯定であり評価であるが、問題は、今さらそれを習主席の発言として聞かされると、誰もが多大な違和感を覚えずにいられないということである。

 というのも、講話が行われてから3年半後の2018年3月に全人代で憲法が再び改正され、トウ小平改革で憲法に盛り込まれた国家主席の任期制限が撤廃されたからだ。

 それを主導したのは当然習主席本人であろう。任期制限が撤廃されたことで、現役の国家主席である彼には「終身指導者」となる道が開かれたからだ。つまり、習主席は毛沢東のような終身独裁者となるために、トウ小平改革で一旦確立された「指導幹部の任期制」を自ら壊した。

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