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【主張】東電元首脳に無罪 原発の安全に最善尽くせ

 東日本大震災に伴う東京電力福島第1原子力発電所の事故をめぐり、業務上過失致死傷罪で強制起訴された同社の旧経営陣3被告に対し、東京地裁は、いずれも無罪を言い渡した。冷静な判断である。

 強制起訴自体に無理があった。千年に1度といわれる巨大津波によって4基の原子炉が同時被災した類のない事故の責任を、個人に求めるのは、反原発感情に根差した応報の感が拭えない。

 裁判長は判決理由で「あらゆる可能性を考慮した対策を義務づければ、事業者に不可能を強いる結果となる」などと述べた。

 リスクは一切あってはならないという「ゼロリスク」の過大な追求を退けた、現実的な指摘だ。

 主な争点は大津波を具体的に予見できたかなどだ。検察官役の指定弁護士は国の地震予測に基づき15・7メートルの津波試算が出ており、予見できたなどと主張した。だがそのほとんどが退けられた。

 東電ホールディングスは「原発の安全性強化に、不退転の決意で取り組む」とコメントした。事故の責任を重く受け止めなければならない。安全対策とともに、福島の復興に全力をあげるべきだ。

 日本の原発は、エネルギー資源に乏しいわが国にとっての貴重な国産電源であり、経済発展を可能にするために国策民営の形で進められてきた歴史がある。原発という巨大システムにかかわる事故を防ぐには国の責任を含め、総合的な取り組みが不可欠だ。

 検察審査会による強制起訴の制度の見直しも必要なときにきている。この制度は、有権者から選ばれた審査員11人が検察官が不起訴とした事件を審査する。

 8人以上の判断で「起訴相当」を議決し、検察が再捜査する。それでも起訴しない場合、2度目の「起訴議決」で指定弁護士が強制的に起訴する。司法制度改革に伴い平成21年に導入された。

 民意を反映するためだが、強制起訴されたJR西日本の福知山線脱線事故で歴代3社長が無罪となるなど、注目された事件での無罪が相次いでいる。

 対象について、罪種を絞ったり起訴猶予となった事案に限ったりするなどの検討を行うべきだ。

 純然たる法的判断を置いて、個人を罰することだけで留飲を下げておしまいでは、原因究明や対策はむしろ遠くなろう。

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