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【新聞に喝!】愛知の企画展中止をめぐる笑止 京都大学霊長類研究所教授・正高信男

「あいちトリエンナーレ2019」のチケット売り場に掲示された、企画「表現の不自由展・その後」の中止を知らせる案内=8月4日午後、名古屋市の愛知芸術文化センター
「あいちトリエンナーレ2019」のチケット売り場に掲示された、企画「表現の不自由展・その後」の中止を知らせる案内=8月4日午後、名古屋市の愛知芸術文化センター

 「おサルはキャッキャと啼(な)く」と世の大多数の人は思っているようだ。実はあれは悲鳴ですというと、大抵びっくりする。彼らが、かようにかまびすしい印象を与えるのは、実際には自分が攻撃されていないのにあたかも攻撃された「ふり」をして悲鳴をだすからである。そうすることで「私はこんなにつらい立場にあるんです」と周囲にアピールする。このような高等なことができるのはあまたいる動物のなかで霊長類ぐらいだが、愛知県で開催中の国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」で中止になった企画展「表現の不自由展・その後」の狙いも、まさにそこだったのではないかと思う。

 半世紀以上も前になるが、皇室を戯画化した小説が雑誌「中央公論」に掲載されたことに憤慨した少年が同誌を発行する中央公論社の社長宅に侵入し、女性2人を死傷させた。4年前、イスラム教の預言者ムハンマドの風刺画が反感を招いて起きたパリのシャルリー・エブド襲撃事件は記憶に新しい。今回の企画展のプランニングにあたり、その下敷きにはこれら過去の事件があったのではないか。

 企画側は否定するが、産経の8月7日付主張や同11日付の記事が指摘するように、「炎上狙い」だった疑いは濃い。昭和天皇の肖像を燃やすような映像や、元慰安婦を象徴する少女像のような作品を展示すれば大変な騒ぎになることぐらい、ジャーナリストなら想像がつく。

 芸術祭の芸術監督を務めるジャーナリストの津田大介氏は、自身の名がついた史実として残る可能性に魅せられたのであろうか。展示を台無しにするような事件が起き、今の日本はこんなに表現が不自由なのだと、おサルさんのように悲鳴をあげようと手ぐすね引いていたのではないか。もしそうだとすれば、一種の自爆アジのような発想ではないか。

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