PR

ニュース コラム

【日曜に書く】見届けずに死ねるか 論説委員・中本哲也 

南海トラフ巨大地震に備えた総合防災訓練をする大阪市の職員ら=2日午前、大阪市役所
南海トラフ巨大地震に備えた総合防災訓練をする大阪市の職員ら=2日午前、大阪市役所

 もうすぐ満60歳になる。

 昭和と平成をほぼ30年ずつ生きてきた。残りの人生は長くはない。少し欲張って「令和も30年生きられたら」と考えた。

 できることなら見届けたいことが3つある。脈絡はない。

◆南海トラフ地震

 マグニチュード(M)8~9の南海トラフ地震が30年以内に発生する確率は70~80%とされる。筆者の30年以内の死亡確率は80%より高いだろう。

 西日本の広い範囲が、激しい揺れと大津波に襲われると予想される。その被害のさまを知りたいのではない。

 住民が地震発生と同時に避難し大津波から命を守る姿を、自分の目で確かめたいのだ。

 東日本大震災から、8年半が過ぎた。ずっと引きずってきた負い目がある。

 平成21年7月、「1000年間隔で襲う津波 仙台内陸部まで遡上」という見出しで、貞観津波(869年)の再来に警鐘を鳴らした。震災1年前の22年3月には「思い込みや自己判断を捨て、迅速に避難を」と訴えた。同じ趣旨の記事を19年2月にも書いている。

 11年から14年にかけての3年間、盛岡支局と東北総局(仙台)に勤務した。東北が好きだから、大切なことを繰り返し伝えようとした。

 大震災で、1万8千人を超える人が津波の犠牲になった。無力だった。

 M9の巨大地震は想像を超える規模だが、津波は想定外とはいえない。貞観津波の知識か自己判断の危うさが頭の片隅にでもあれば、助かった命はあるはずだ。こんなに悔しく、悲しい思いは二度としたくない。

 南海トラフ地震を見届けたいのは、ひとりよがりかもしれないが、東日本大震災からの負い目を消したいからだ。

◆感情を宿すAI

 人工知能(AI)の進化が目覚ましい。

 全人類の知能の総和をAIが上回る「技術的特異点(シンギュラリティー)」が、2045年ごろに現実になるという未来予測がある。

続きを読む

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ