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【ポトマック通信】「富記ロス」…また一つ消えた“名店”

 筆者が住むワシントンのチャイナタウンで、町の名物だった中華料理店「富記(ふうき)」が先月末で突然閉店した。香港風のワンタン麺が売り物で、ワシントン在住経験のある日本人ならば、一度ならず足を運んだ経験があるはずだ。

 近年まで日本風のラーメン店など望むべくもなかった中で、この店は本格的な汁そばを食べられる数少ない店の一つだった。

 最低でも週に1度は通っていた身として、いまだに「富記ロス」から立ち直り切れていない状態だ。

 だが残念ながら、今回の閉店はまさに、衰退の一途をたどる首都の中華街を象徴する出来事でもある。

 1970年代には約3千人いたとされる中華街の中国系人口は、今や500人を切ったともいわれる。かつては治安の悪化、最近では周辺の再開発による地価高騰で中国系住民が続々と郊外に移転したためだ。

 これを受け、中国系が経営する商店や料理店が姿を消す一方、代わりに何の面白みもない米国料理のレストランやカフェが軒を連ね、中華街の趣は風前のともしびとなりつつある。

 ニューヨークのイタリア人街などもそうだが、移民で形作られた米国の歴史が息づくこれらの町が地盤沈下していくのは、歴史の流れとはいえ、一抹の寂しさを覚えずにはいられない。(黒瀬悦成)

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