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【一筆多論】剣豪作家が見た東京五輪 沢辺隆雄

 五輪はトップアスリートが努力を重ね、国を背負い、死力を尽くすドラマがあるから人々を引きつける。柴田錬三郎は剣豪小説について新聞のインタビューなどで個性ある人物や人情を描くおもしろさを語っていた。夕刊フジに連載した随筆では、「『いい事』は常に『悪い事』と背中合わせになっている」と人生の皮肉を記してもいた。

 先の本、『-文学者の見た世紀の祭典』では、三島由紀夫のボクシングや体操などの観戦記も登場する。

 五輪・パラリンピックは、学校現場にとっても学びの絶好の機会となる。スポーツ選手がたたかう姿など競技が生む感動、国際理解やフェアプレーの精神、もちろん国旗・国歌を尊重することも学びたい。

 そこで「礼」の大切さを改めて知ってほしい。

 以前にもこのコラムで紹介したことがあるが、剣豪作家の五味康祐の『桜を斬る』(『人生を変えた時代小説傑作選』収録、文春文庫)の一節に、居合の達人が修行時代に師の僧から贈られた言葉が出てくる。

 「技の出来(でき)るに従って高慢になるのは、人間やむをえない。それを防ぐ手段(てだて)は一つよりない。礼儀をまもることである。礼儀は、美徳ではない。それは用心を意味する…」。礼は自分をみつめる機会でもある。

 56年の時を経て開かれる2度目の東京五輪・パラリンピックは社会の変化の中で日本や日本人の良さ、あり方を見つめ直すよい機会にもなる。「スポーツの日」にするより、やはり10月10日の「体育の日」復活をと思うが、もう無理か。(論説副委員長)

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