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【直球&曲球】中江有里 時間をかけて築いた交流が…

GSOMIA破棄を伝える23日付の韓国主要各紙(共同)
GSOMIA破棄を伝える23日付の韓国主要各紙(共同)

 先週、福岡県へ出張した。テレビの出演と小説の取材も兼ねており、数日、県内を飛び回ったが、2カ月ほど前に訪れたときと少し様子が違う。水郷の川下りで有名な観光地・柳川もひと気がなく、寂しげだった。

 くしくも福岡滞在中に韓国政府が軍事情報包括保護協定(GSOMIA(ジーソミア))の破棄を決めたニュースが入った。以前と比べると、韓国からの客が減っているように見える。実際、韓国からの訪日客のキャンセルが相次いでいた。

 福岡は空路だけでなく、韓国の釜山と結ぶ高速船もある。台風10号の影響で欠航になった便も出たが、お盆期間中だけでも韓国人の乗客は前年比で半減していた。お盆明けからは韓国LCC(格安航空会社)の九州向け4路線が運休している。

 そもそも九州は歴史的、地理的にもアジア諸国の影響を大きく受けている。普段暮らしている東京ではそれほど感じないが、たとえば天気予報の地図一つとっても福岡を中心に記されており、それを見ると九州は、大陸や半島とかなり距離が近い。

 文在寅(ムン・ジェイン)政権になってからの韓国の日本への対応には首をかしげたくなることはあるが、韓国人がみな同じ考えだとは思わない。日本も嫌韓の人がいるが、そうではない人もいるのだから。

 しかし、現実的には政治的、経済的な断絶が民間にまで及んでおり、観光地の経済に直結している。

 この断絶の先の展開は読めない。GSOMIA締結前の状態に戻るだけ、という考え方もある。それより前の状態-「韓流」と呼ばれたものが日本に来た当時のことをふと思い出した。

 2000年代、日本で「冬のソナタ」のドラマ放送が始まり、韓国映画や音楽、グルメなど巻き込んだ一大ブームにもなった。以降、両国が常に良好な関係を築けていたかは分からない。しかし、文化的交流は続いてきたし、お互いの国を訪ねる観光客は増え、それぞれの文化への理解も深め合ってきた。

 時間をかけて築いた交流を断ち切ることは、個人の心の自由を侵すことにも繋(つな)がる。

【プロフィル】中江有里

なかえ・ゆり 女優・脚本家・作家。昭和48年、大阪府出身。平成元年、芸能界デビュー、多くのテレビドラマ、映画に出演。14年、「納豆ウドン」で「BKラジオドラマ脚本懸賞」最高賞受賞し、脚本家デビュー。フジテレビ「とくダネ!」に出演中。文化審議会委員。

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