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【思ふことあり】自治体連携で魅力ある観光地 スポーツジャーナリスト・増田明美

増田明美さん(寺河内美奈撮影) 
増田明美さん(寺河内美奈撮影) 

 表面に青色のゴムが敷かれたブルートラックに響く足音。函館市の西隣、北斗市の陸上競技場で、3人の選手がウオーミングアップをしていた。MGC(マラソングランドチャンピオンシップ)に出場するワコール女子陸上競技部の福士加代子さん、安藤友香さん、一山麻緒さんだ。

 合宿にお邪魔した8月20日の午後は激しい雨だった。でも3人の走る姿が水を得た魚のように美しく、神秘的な光景。400メートルを15本という練習が始まろうとしたそのとき、雨がやんで青空が見えてきた。すると3人を応援するかのようにカモメが1羽、競技場の芝生の真ん中に舞い降りた。縁起がいいと感じた。

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 今回、ワコールチームは函館市の北に位置する七飯町のホテルに宿泊し、大沼の周りを中心に練習していた。でも七飯町に陸上競技場がなく、お隣の北斗市の競技場を利用している。北斗市役所スポーツ合宿誘致担当の藤川怜彦さんに話をうかがうと、「七飯町で合宿する選手から競技場を利用したいとリクエストがあれば、対応するようにしています」とおおらかだ。

 北斗市では、関西実業団の短距離ブロックや日体大、筑波大の短中距離の合宿も行われている。5人以上、2泊以上の合宿には1泊2千円の補助も出しているそう。「長距離の皆さんも合宿していただけるよう、お試しで競技場を開放しています」

 競技場には七飯町教育委員会スポーツ振興係の梅川陽介さんも来ていた。「道内でも合宿の誘致競争は厳しいです。隣町同士で張り合っている場合ではありません」と協力体制の必要性を訴えた。

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 スポーツ合宿だけではない。観光コースでもうまく連携がとれていると感じたのが「萩・津和野」。山口県と島根県の連携である。5年前に家族旅行で訪れたとき、観光コースとしてのブランドだと感じた。調べてみると、「萩・益田・津和野圏域広域連携観光交流推進協議会」という県を越えた組織がある。これは老舗ともいうべき連携だと思うが、今後もさまざまな「テーマ」で各地に観光コースが生まれそうだ。その役割を担うのが日本版DMO(Destination Management / Marketing Organization)という「観光地域づくり法人」。観光庁のHPによると、「日本版DMOは、地域の『稼ぐ力』を引き出すとともに地域への誇りと愛着を醸成する『観光地経営』の視点に立った観光地域づくりのかじ取り役」とある。

 その中に一般社団法人・秋田犬ツーリズムもあり、ワクワクした。秋田犬をテーマに、大館市、北秋田市、小坂町、上小阿仁村の4市町村で一緒に盛り上げようというもの。2年前に秋田駅で秋田犬に触れ合う機会があり、かわいさにイチコロだった。ロシアのフィギュアスケート選手、アリーナ・ザギトワさんの影響もあって、国際的な注目度は抜群である。

 観光庁が支援するテーマには、「街道観光」「酒蔵ツーリズム」「サイクルツーリズム」もある。大きなテーマを基に協力し合えば、自治体の垣根を越えて新しい魅力が生まれそうだ。

 函館市という有名観光都市のそばでは、北斗市と七飯町が連携して若い担当者同士ががんばっている。近隣の自治体が協力し合い、広域での魅力を発見、発信する時代と思う。老舗観光地もうかうかしていられなくなり、切磋琢磨(せっさたくま)することで日本全体の魅力が高まっていくに違いない。

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