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【風を読む】読書感想文の憂鬱 論説副委員長・沢辺隆雄

 夏休みの終わりが近づくと誰でも憂鬱(ゆううつ)だ。子供のころ、本を読むのは好きでも宿題の読書感想文に悩んだ人は少なくないだろう。新聞記者も締め切り間際は憂鬱だ。声を荒らげる人もいるから、近づかない方がいい。

 書店の学習参考書のコーナーをのぞくと、読書感想文の書き方の指南本が並んでいた。目を引いたのは、その名もずばり、『必ず書ける あなうめ読書感想文』(学研)。登場人物の名や心に残ったせりふなど空欄を埋めていくと完成する。

 感想文までマニュアル頼みかと眉をひそめて手に取ったら、国語教育に詳しい国立大付属小学校教諭の監修で、大変参考になる。子供たちに人気の本を例に分かりやすく説明。「おもしろかった」など、つい使ってしまう表現を、自分の言葉に替えるヒントなども書かれている。

 そういえば記者の駆け出しのころは交通事故の記事など、いつ、どこで何が起きたのか定型があり、過去記事を切り抜いて参考に、まねして書いた。型を覚えるのは必要だ。「思ったことを素直に書けばいい」と言われても、それが一番難しい。

 「学校では教えてくれない大切なこと」と刺激的な名前がついたシリーズの『読書感想文に役立つ 読書&作文セット』(旺文社)は、日記のように心に残ったポイントなどを記入できる読書ノートもつき、多くの本に触れる工夫がある。

 一昨年、神奈川近代文学館(横浜市)で開かれた「没後50年 山本周五郎展」で、『樅ノ木は残った』など数多くの人気小説を残した作家の日記を目にした。「…人間を書くのだ、真実の人間が書ければ『面白さ』は附いて来る、簡潔に、的確に、そして生々と鮮かに…」。読書の魅力をさまざまな形で知ってほしい。

 「文部科学白書」(平成28年度版)で、子供たちの体験活動について特集したことがある。「体験活動は人づくりの『原点』」と述べていた。自然体験はもちろん、思春期の読書も得難い体験だ。近年、塾の夏期講習があるから宿題を少なくして、と保護者の要望があるという。そんな気兼ねをせず子供たちに豊かな体験を促す配慮をしてほしい。

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