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【主張】あおり運転 根絶のためになすべきは

 高速道路であおられた上に停車を強制され、乗用車から降りてきた男に恫喝(どうかつ)、殴打される。テレビで繰り返し流された映像には、多くの人が衝撃を受けた。

 茨城県警はこの「あおり運転殴打事件」で宮崎文夫容疑者を傷害容疑で逮捕した。宮崎容疑者は愛知、静岡両県内でもあおり運転を繰り返していた疑いが濃厚である。

 車は身近な移動手段であると同時に、極めて危険な悪意の凶器ともなり得る。厳しく取り締まる必要があるのは当然だ。

 だが被害者の負傷は軽微なもので、傷害罪での厳罰は望めない。危険運転致死傷罪は被害者が負傷の場合は15年以下、死亡なら20年以下の懲役となるが、同罪は「走行中」の行為を対象としており、このケースへの適用は難しい。

 平成29年6月に東名高速道路でワゴン車の夫婦が後続のトラックに追突されて死亡した事故では、横浜地裁がワゴン車を停車させた乗用車の運転手に危険運転致死傷罪を適用し、懲役18年を言い渡した。同時に判決は、高速道路に停車させた状態を同罪の構成要件である「重大な危険を生じさせる速度」とするのは解釈上無理があるとも指摘した。

 いわば拡大解釈である。だが高速道路で強制的に停車させる行為が危険な運転でないはずがない。解釈に無理があるのは法令に不備があるからで、法改正によりこれを埋めるべきである。

 警察庁は昨年、あおり運転は結果として死傷の被害がなくても刑法の暴行罪に該当するとして取り締まりを強化し、あおり運転を行った者に対しては「危険性帯有」により、運転免許停止の行政処分にするとした。

 ただし暴行罪は懲役2年以下であり、危険性帯有の免停は最長180日である。行為の危険性に比して軽すぎないか。法令は生き物である。現実に即して不断の見直しを怠ってはならない。

 事件は、被害車両のドライブレコーダーの映像によって明らかになった。愛知、静岡両県のあおり運転行為についても同様だ。今や車載カメラは必携品である。

 停車を強制され、運転手が降りてきたらドアをロックし、窓を開けてはいけない。警察への通報も躊躇(ちゅうちょ)してはならない。悲しいかな自身の安全は、自ら守らなくてはならない。

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