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【日曜に書く】安楽死とも向き合う時代 論説委員・河村直哉

 京都大学名誉教授の佐伯啓思さんと話をしていて、ある番組の話題になった。6月2日に放映されたNHKスペシャル「彼女は安楽死を選んだ」。難病を患った女性が、海外の希望者を受け入れているスイスで安楽死を選ぶ。先月の朝日新聞にも寄稿していたが、佐伯さんはかなり感じるところがあったようである。

佐伯啓思さんの論考

 最近、佐伯さんは著書などで死について書いている。昨年の著書「死と生」では冷徹な現実認識を示した。

 ふつう私たちは生と死を対置させてイメージしている。佐伯さんは、これらはきれいに分かれるものではないと書いている。「死とは、生が徐々に衰退し、変形し、われわれの存在の在り方を歪(ゆが)めてゆくプロセスであり、その極限に現れるもの」だと。

 その通りだろう。通常、私たちは老い、あるいは病み、活動力や体の自由を失っていく。多くの場合、医療機関なり家族なり、自分ではない者の力を借りつつ最期を迎える。

 歩行も排泄(はいせつ)も自分ではできなくなるかもしれない。最期の局面で治療を続けるかといった判断も自分ではできなくなる。そのようなことを佐伯さんは同書で指摘している。

 だが安楽死となると話は少し違ってくる。それもやはり医師の手を借りるなど、自分だけで完結する死ではない。しかし自分の意志で最期を選ぶという点では自己決定の死といえる。

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