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【朝晴れエッセー】花火のおっちゃん・8月11日

 子供たちがまだ小さかったころ、毎年夏になると夫は花火をするのが、楽しみだった。

 定番の線香花火やヘビのようにくねくねと、黒い煙の出るものや、いろいろな花火をたくさん買ってきて、やり始めると近所の子供たちやその親まで集まってきて、いつしか近所で「花火のおっちゃん」と評判になり、夏の夜のヒーローであった。

 時は流れ毎年5月に地域の花火大会が開催されるようになり、わが家の2階のベランダから、夫と2人ひと時を楽しむようになった。しばらくして周りに高い建物が建つようになり、ベランダから見られなくなってからは、遠くで聞こえる音だけを楽しんでいた。ある年、近くまで見に行こうということになり、目前に迫る花火は圧巻だった。

 とりわけ、平成16年の花火大会は忘れられない想い出になった。

 夫はガンを告げられて、3年目に入っていた。私はもしかしたら、これが最後になるかもしれないと胸の片隅で感じつつ、頭上いっぱいに降り注ぐ花火に、夫と2人抱かれていた。

 そして、翌年1月、召された3週間後に生まれた初孫と、花火をすることも、みることもかなわず、夫は64歳で逝ってしまった。

 今でも花火の季節になると、あの時の花火よりずっとずっと高い所へ行ってしまった「花火のおっちゃん」の笑顔が、私には見えるのです。

吉岡 純子 73 大阪府東大阪市

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