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【日曜に書く】論説顧問・斎藤勉 ウクライナの若き国士の警鐘

 「冷戦終結」30年の今年、米国と中国の新冷戦は現実味を帯び、米露関係は最悪だ。米中対決の最前線にある日本の尖閣諸島周辺には連日、中国の公船が出没して威嚇する。ロシアは北方領土への最新型戦闘機やミサイル配備など軍事力を強化している。今月2日にはメドベージェフ首相が4度目の北方領土上陸の暴挙に出たばかりだ。対露交渉に知悉(ちしつ)したI・ハルチェンコ駐日ウクライナ大使(57)は今年3月の記者会見で「クリミアでは軍事基地化と政治的弾圧が進行中だ」と明かした。

 ◆「日露平和条約は危険だ」

 中露の軍事関係は7月下旬、日本海上空を両国空軍機が共同巡回飛行、竹島の日本領空を侵犯するまでに緊密化している。

 『プーチン幻想 「ロシアの正体」と日本の危機』(PHP新書)などの著作があるグレンコ氏は「いまや中露は合体し、事実上の連合国家となった」とまで言い切る。「中国の軍事的脅威に対抗するために、日本が領土問題で大幅に譲歩してまでロシアと手を結ぼうとするのは完全に間違いだ」と手厳しい。

 「日本では今回の参院選でも安保問題はほとんど論議されず、憲法改正を争点にしたのは自民党だけだった。クリミアの悲劇が沖縄で起きないか、本当に危ないと思っています」

 プーチン政権は現在、公然と「日露間に領土問題はない。あるのは平和条約問題だ」とうそぶく。「領土抜き平和条約」の締結は、「拉致事件の決着なき日朝国交正常化」と同じで、歴史戦の完全敗北だろう。

 グレンコ氏は逆説的にこう警鐘を鳴らす。「ロシアと平和条約があった方が危ない。日本は対露防衛強化の必要があるが、平和条約を結ぶとロシアを警戒しなくなり、『北方面は安心だ』となりかねない。ロシアは北海道を狙っていないわけではない。ロシアは約束を破るために約束をする国だ」(月刊『正論』8月号の鼎談(ていだん)参照)

 グレンコ氏は別れ際、「この夏も靖国の鳥居をくぐります」と熱く語った。佇(たたず)まいは終始一貫、「若き国士」だ。「大陸の全体主義国家を相手にして首相が靖国に参拝しないのはおかしい」(さいとう つとむ)

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