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【日曜に書く】論説顧問・斎藤勉 ウクライナの若き国士の警鐘

ウクライナ人留学生のグレンコ・アンドリー氏=東京・大手町(飯田英男撮影)
ウクライナ人留学生のグレンコ・アンドリー氏=東京・大手町(飯田英男撮影)

 ◆「日本を愛し」靖国参拝

 令和初の鎮魂の季節を前に、「終戦記念日の8月15日に過去3年、靖国神社参拝を続けています」というウクライナ青年に会った。大阪に住み、ネットの情報番組などで活躍しているグレンコ・アンドリー氏。31歳、気鋭の国際政治学者だ。「京大に留学した2013年からは靖国に30回以上も行っています。必ず境内の鎮霊社参拝も」

 京大では大著『古事記伝』で知られる江戸時代の碩学(せきがく)、本居宣長を研究し、修士論文は『(神)道思想に関する考察』。

 ソ連崩壊で宗教が自由化されて28年。「でも故郷キエフでは自ら教会に行ったことさえない」という青年がなぜ靖国へ?

 「まずは、彼ら英霊が日本のため、そして結果的には全世界の平和のために戦ったことへの感謝と鎮魂です。もう一つは、日本の“平和ボケ”があまりに絶望的なので、何とかしてください、と祈っているんです」

 名刺には「日本を愛し、祖国ウクライナの悲劇を教訓に、日本復活のため講演、執筆活動を行っている」と日本への心酔ぶりを率直に記している。

 日本とウクライナはロシアに対して同じ立ち位置にある。北方四島は終戦直後にソ連軍に不法占領され、ウクライナは14年、クリミア半島をロシアに併合された。ともに国の混乱に乗じた武力による領土奪取だ。

 ◆両国の「思考停止」の果て

 「クリミア併合前と今の日本は共通点が多い。一つが平和ボケ。300年以上もロシアの植民地支配を受けたウクライナ人は常に『ロシアを、ソ連を愛しなさい』と洗脳されてきた。『どの国にも脅威にならなければ戦いには巻き込まれない』とも考えてきた」。日本の憲法前文と同じ思考の停止状態だ。

 グレンコ氏によると、ソ連崩壊後、クリミア奪取の試みは過去に2度あった。最初は1990年代前半、ロシア工作員がクリミアに潜入して「分離主義」をあおり立てた。2003年、プーチン政権はクリミアとロシア間のケルチ海峡にあるトゥズラ島周辺を埋め立て、将来のクリミア侵略の橋頭堡(きょうとうほ)にしようと策動した。ともに失敗したが、クリミア併合はロシアにとっては20年越し、三度目の正直だったのだ。しかし、「ウクライナではロシアは友好国というのが常識で警戒感も薄く」、結局はまんまと乗っ取られてしまった。

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