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【記者発】「壁」は創作のエネルギー 文化部・海老沢類

 「今の世の中、女性作家の方が書くべきことが圧倒的に多いのでは」と文芸評論家の伊藤氏貴さんは話す。「男女同権が表面上はコンセンサス(合意)を得ていても現実との間にはまだまだギャップがある。女子受験生らを不利に扱っていた大学医学部の一連の不正入試は典型です。理不尽な偏見や差別といった形で現れるそうしたギャップを多くの女性作家が描いている」。立ち向かう厚い「壁」が目の前にあることは創作のエネルギーにもなるのだ、と。

 そういえば、大ベストセラーとなった村田沙耶香さん(39)の芥川賞受賞作「コンビニ人間」で描かれていたのも、就職や結婚をめぐり世間が押しつけてくる「普通」の価値観と格闘する未婚女性の切なくもユーモラスな姿だった。社会の「壁」に立ち向かおうとする物語は切実だし力強い。人間の柔らかくて弱い部分をそっと包み込む優しさもある。次はどんな物語が生まれるのか、と来年の芥川賞と直木賞を今から楽しみにしている。もちろん、男性作家の奮起も期待しながら。

【プロフィル】海老沢類

 平成11年入社。横浜総局、福島支局郡山通信部、東京本社整理部、社会部などを経て文化部。現在は文芸関係の記事を主に担当している。

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