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【朝晴れエッセー】ボタン・8月8日

 夕方、忙しく洗濯物を取り入れたたんでいるとブラウスが破れていることに気が付き手を止めた。10年は着たお気に入りの夏物の白いブラウス。何年か前から布地が薄くなってはいたがこの夏も着ようと思って洗濯したのだ。

 「もうこれあかんわ」と、思い切ってゴミ箱に入れたとき、その服のボタンに目が留まった。着ていたときには気にもしなかったが、白い布地に良く似合う卯の花色の少し大きめのボタン。よく見ると貝殻ボタンだ。

 慌てて服をゴミ箱から拾った。ボタンなんかに構ってる暇はないと思いつつ、裁縫箱から糸切りばさみを取り出し、一つ一つ丁寧に外していった。昔はみんなボタン一つでも大切にしていたように思う。

 小学生のころブラウスのボタンを一つなくし、母と町の洋裁店へ行きボタンを買ってもらった。お店の棚には上から下までたくさんの箱がありそれぞれの箱に見本が縫いつけてあるのだ。私は花柄の小さなボタンを選び、母にブラウスのボタンをすべてその花柄ボタンに付け替えてもらい、とてもうれしかったのを覚えている。

 改めて豊かでのんびりした時代だったんだと思う。毎日をただ忙しく過ごしているだけの自分を省みた。

 夏の夕暮れ、ボタンを外し終え、机の上に置いた8つのボタンがまるで本物の卯の花のように見えた。

樫原 智子 46 主婦 大阪市北区

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