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【ポトマック通信】巨大壁画は市民の誇り

 米大統領選の取材をするため、中西部ミシガン州デトロイトを初めて訪れた。どうしても行きたかった場所が、メキシコを代表する画家であるディエゴ・リベラ(1886~1957)の生涯最高傑作とされる巨大壁画が展示されているデトロイト美術館だ。

 「デトロイトの産業」と題された作品は、大恐慌時代の33年に完成。当時は世界の自動車産業の中心地だった町の成り立ちや自動車の製造工程、自動車造りを支える労働者の表情などが、美術館中庭の壁4面に緻密に描かれている。マルクス主義者として知られたディエゴの制作を強く後押ししたのが当時のフォード自動車の社長、エドセル・フォードだったことも、かつてのデトロイトの懐の深さを感じさせる。

 館員の一人が、取材の合間を縫って来館した筆者に「とにかく壁画だけは見ていって」と念を押すほど、壁画は今やデトロイト市民の誇りだ。産経新聞社は3年前に東京や大阪で「デトロイト美術館展」を開催したが、壁画だけは現地に行かないとみられないだけに感動もひとしおだった。

 デトロイト市が6年前に財政破綻した際、美術館の所蔵品も売却される恐れが出たが、市民らの尽力で阻止された。こうした気概が、復活を遂げつつあるこの町の底力の核心にあるのだと思う。(黒瀬悦成)

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