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ニュース コラム

【ニュースの陰影】自由の花の鎖 巨象止めた

コラージュ・松本好永。写真はAP、ロイターなど
コラージュ・松本好永。写真はAP、ロイターなど

 天安門事件から30年の今年、香港市民が巨大デモで大きな成果を挙げた。中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案に反対するデモは週末ごとに膨れあがり、6月9日に100万人、16日には200万人という空前の規模に達した。主催者発表とはいえ、香港総人口の約4分の1に当たる。

 黄色い雨傘を持つ参加者が目立った。民主的な行政長官選挙を求めた2014年のデモで催涙弾よけに使われ、民主化運動の象徴となったアイテムだ。学生らが中心となった14年の「雨傘運動」は結局、治安部隊に鎮圧され何も得ることはできなかった。しかし今回は中心となる指導者がいない自然発生的なデモにもかかわらず、事実上の廃案に持ち込んだ。5年前に比べ、格段に多くの市民がデモに参加したことも大きな要因だ。

 条例が成立すると、香港市民も実質的に中国当局の取り締まり対象になる恐れがある。中国に批判的な本を扱う書店関係者が中国当局に拘束され、民主派議員が議員資格を剥奪されるなど近年は、一国二制度を骨抜きにする出来事が次々と起きていた。こうした恐怖や怒りが人々を路上に駆り立てたことは想像に難くない。

 北京の意向を受けた香港政府が今回、どう動くかは予想がつかなかった。香港市民が強い気持ちで連帯したことで、大規模な強制排除を許さなかった。

 しかし条例改正案の撤回はなお明言されていない。巨象は一時、歩みを止めたにすぎない。(坂本英彰)

 「ニュースの陰影」は国内外の事件や問題、注目を集めている話題などを象徴的なコラージュで表現し、毎月1回掲載します。

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