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【中江有里の直球&曲球】危機感持つことが事故をなくす一歩に

東京・池袋で乗用車が歩行者をはねる事故が起きた現場を調べる警察官=4月19日、東京都豊島区(佐藤徳昭撮影)
東京・池袋で乗用車が歩行者をはねる事故が起きた現場を調べる警察官=4月19日、東京都豊島区(佐藤徳昭撮影)

 今年4月に東京・池袋で起きた暴走事故で、母子の命が失われた。高齢の運転手が運転操作を誤ったとみて警察は調べを続けている。

 高齢者の運転については事故が起きる度、免許を自主返納すべきだという論調になっているが、高齢者それぞれの運転技術や経験、健康状態、認知機能など、そして居住地によっては車がなければ生活が成り立たないという場合もあって、一概に年齢だけで区切るのも難しいのだろう。

 先だって私の知人は高齢者の運転手にすれ違いざま車を擦られたが、そのまま車は行ってしまったという。幸いドライブレコーダーに記録が残っており、警察に提出したところ、相手はすぐに分かった。運転手は近所に住む80代後半の女性だった。

 車の修理について連絡を取ると「運転手本人は耳が悪い」ということで家族とやり取りをすることになった。しかし、運転手本人は擦った覚えもなく、家族も「運転は本人の生きがいだから」と言ったという。

 車には高齢者マークも張っていなかった。これでは本人に高齢者としての認識がなく、家族も運転をやめさせる気がなかったと思われても仕方がない。今回は車体の損傷で済んだが、池袋の事故後であってもこの程度の認識なのか、と正直驚いた。

 現在、警視庁が75歳以上の運転手に課している認知機能検査は「時間の見当識(けんとうしき)」「手がかり再生」「時計描写」の3つ。これらの検査概要は警視庁のサイトで確認できる。認知機能検査に関する書籍も出ており、学習してから本番に臨むことができる。検査に加えて高齢者講習があるが、冒頭のような事故が起きたり、身近なトラブルを耳にしたりすると、果たしてこのままで高齢者の免許更新はよいのかと思う。

 自動ブレーキ搭載の車に乗る、身近な人に協力を仰いで日常の運転をチェックしてもらうとか、個別にできることもあるだろう。

 自らが加害者にも被害者にもなるかもしれない交通事故。一人一人が危機感を持つことが悲しい事故をなくす一歩につながるのではないか。

【プロフィル】中江有里(なかえ・ゆり) 女優・脚本家・作家。昭和48年、大阪府出身。平成元年、芸能界デビュー、多くのテレビドラマ、映画に出演。14年、「納豆ウドン」で「BKラジオドラマ脚本懸賞」最高賞受賞し、脚本家デビュー。フジテレビ「とくダネ!」に出演中。文化審議会委員。

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