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【新聞に喝!】京アニ放火事件 アニメへの偏見あおらぬ報道を ブロガー・投資家・山本一郎

放火から一夜明け、現場検証が行われる京都アニメーション第1スタジオ =19日午前11時6分、京都市伏見区(本社ヘリから、柿平博文撮影)
放火から一夜明け、現場検証が行われる京都アニメーション第1スタジオ =19日午前11時6分、京都市伏見区(本社ヘリから、柿平博文撮影)

 日本の未来を占う参議院選挙も大詰めに入る中、日本のアニメカルチャーを担うスタジオ大手「京都アニメーション」の社屋やスタッフが放火される事件が起き、34人が亡くなり多数の負傷者が出るという痛ましい事件が発生しました。産経新聞でも「京アニ火災 広がる衝撃、アニメ文化『損失は計り知れない』」(「産経ニュース」18日)として第一報を報じています。

 平成以降最悪の放火殺人事件となり、また放火した男に精神的な課題があるなどの臆測も出るなか、事件は単にアニメ産業に対する攻撃というだけではなく、広く無差別殺人・テロがいかに社会にあしき影響を与えるものなのか、またその防犯が難しいものかを物語っています。再発を防ぐ手がかりになる犯人像はこれから報じられるでしょうが、仮にアニメの演出やストーリーに不満を持ち逆恨みをした社会的弱者が凶行に及んだとすると、悪くすればそのような属性の人は全員社会に出すなという行き過ぎた議論になりかねません。

 一方で、心に問題を抱えている人たちこそ社会からの断絶や人生への失望に悩んでおり、その孤独から解放するためにきちんとした福祉の対象とすべきだという主張もあります。貧者や弱者は誰もがかわいそうと思う聖人ではなく、むしろ救いたくないと思うような人たちであることも多く、そういう人であるからこそ救いの手が必要なのだという話にもなり得ます。

 また、アニメはとかく社会からたたかれがちで、最近こそクールジャパンのように日本の代表的文化とされつつも、いまだにアニメファンというだけでちょっと変わった人という目線で見られます。アニメファンに現実社会との関わりが乏しい人が少なくないのが仮に事実だとしても、この事件によりアニメなどの表現の規制やファンに対する蔑視が進まないよう祈るのみです。アニメ好きだから、引きこもりだから、精神疾患だからと安易に線引きして「日常生活の外で起きた特殊な犯罪」と捉えず、武富士弘前支店放火事件や相模原障害者施設大量殺傷事件のような、独自の被害意識や身勝手な論理を抱く人による凶行として考えていくべきでしょう。メディアとしても事件の悲惨さだけでなく、再発防止のためにその構造についての議論こそ心がけねばなりません。

 末筆ながら、日本の文化を最前線で支えてきたアニメスタジオの無辜(むこ)のスタッフが多く亡くなられたことは本当に残念です。犠牲者の魂の安寧を心から祈っております。

【プロフィル】山本一郎

 やまもと・いちろう 昭和48年、東京都出身。慶応大卒。専門は投資システム構築や社会調査。情報法制研究所上席研究員。

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