PR

ニュース コラム

【日曜に書く】「老後不安バブル」の罪深さ 論説委員・井伊重之

 ◆収束する2千万円不足

 「老後2千万円不足」の騒動が収束しつつある。金融庁の審議会がまとめた報告書で、高齢無職夫婦が95歳までの生活費をみると、2千万円の金融資産が必要になるとした。これをメディアが「政府が公助の限界を認めた」などと報道し、国民の不安に火をつけた。

 参院選を控えて野党は安倍晋三政権に対する格好の攻撃材料と位置づけた。政府・与党は野党の攻勢を封じるため、報告書の受け取り拒否という暴挙に出た。こうした年金問題は参院選最大の争点になると予想されたが、思った以上に野党への支持は集まらなかったようだ。

 なぜか。それは報告書が、少子高齢化で公助だけに老後の生活を頼れない以上、共助や自助を含めて国民一人一人が考えなければならないという、いわば当たり前のことを指摘したにすぎないからだ。国民の常識と言い換えてもいいだろう。報告書を責め立てても老後不安の解消にはつながらない。

 しかし、今回の騒動で報告書は葬られた。「2千万円不足」は総務省の家計調査などで何度も紹介されてきた数字だ。報告書は国民が少しでも豊かな老後を過ごすため、長期の資産形成に向けた金融市場を整備する必要性を説いた。この本意が日の目を見なかったのは残念だ。

 ◆証券口座申し込み殺到

 気になるのは、「老後不安バブル」とでも呼ぶべき動きが出てきたことだ。家計診断などを受け付けるファイナンシャルプランナーには、老後資金の不安を訴える相談が殺到している。とくに若い世代からの相談依頼が目立ち、関連するセミナーは盛況だ。

 手数料が安いインターネット証券には、新たに投資信託などの金融商品を購入するため、証券口座の開設申し込みが相次いでいる。大手ネット証券は「2千万円不足の問題がメディアで取り上げられた先月の申込件数は、これまでの2倍以上に膨らんだ」と喜ぶ。

続きを読む

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ