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【世界のかたち、日本のかたち】日本ができる米国防衛 大阪大教授・坂元一哉

首脳会談の冒頭、トランプ米大統領(左)と握手を交わす安倍晋三首相=6月28日、大阪市住之江区
首脳会談の冒頭、トランプ米大統領(左)と握手を交わす安倍晋三首相=6月28日、大阪市住之江区

 先日、大阪で開かれた20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)に出席するため来日したトランプ米大統領は、会議後の記者会見で、日本に米国の防衛義務がない日米安全保障条約は「不公平」だと発言した。大統領はさらに、自分は安倍晋三首相にこれを変える必要があると伝えたとも述べている。

 衝撃的な発言だが、どう対応すべきだろうか。私はこの際、日米同盟のさらなる発展のために、安保条約を再改定する準備を始めるべきだと思う。

 昭和35(1960)年に、旧安保条約を改定してできたいまの安保条約は、「極東」の平和と安全のための条約である。日米両国はその目的のために、大きく2つの協力を行う。1つは日本が米国に基地を貸し、米国がそこに米軍をおいて使用する協力。もう1つは日米が、日本の領域のなかで互いに守り合う協力である。

 後者の防衛協力は範囲が狭く、米国は日本の防衛に協力するが、日本は在日米軍の防衛に協力するだけでよい。日本が米国領土の防衛に協力しない分、安保条約は米国にとって不公平な条約のようにも見える。

 もちろん、よく知られているように、後者の協力のバランスの悪さは、前者の協力が米国の世界戦略と安全保障にきわめて大きな意味を持つことで埋め合わされている。それで条約全体の協力のバランスはとれているのだが、かたちが非対称な協力でのバランスなので、条約の相互性、公平性に関し、日米双方に不満を生じさせるところがあるのも事実である。

 日米両国は、安保改定後、その不満に対応すべく、米軍基地への「思いやり予算」や「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」など、さまざまな補助的取り決めで条約を補強し、双方に相互性、また公平性の感覚が発展するよう努めてきた。その努力はかなり成果をあげていて、もし安保条約にそれらの補助的取り決めを加えて成り立ついまの日米同盟が、安保条約でいう「極東」のためだけにあるのなら、不公平という批判への反論は難しくない。

 ただ日米両国は今世紀に入ってから、日米同盟を「世界の中の」日米同盟に発展させることを目指してきた。近年は「自由で開かれたインド太平洋」構想を掲げ、同盟協力の範囲を大きく広げようとしている。米国の領土が存在しない「極東」ではなく、それが存在する場所での協力拡大である。そうなると、日本が米国領土の防衛への協力を一切約束しない安保条約の公平性を説明することは、そう簡単ではなくなる。

 だがよく考えてみれば、仮にいま米国の領土が攻撃されたら、日本は憲法上また実力上、できることは何でもやって米国の防衛に協力するだろう。実際今世紀の初年に米国がテロ攻撃を受けたときはそうだった。

 もしそうなら、安保条約でそう約束して何か問題があるだろうか。9・11米中枢同時テロから18年の歳月が流れたが、米国防衛のために日本ができることは、確実に増えている。(さかもと かずや)

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