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【新聞に喝!】名も気分も戦中のまま 元東京大学史料編纂所教授・酒井信彦

作家、田辺聖子さん
作家、田辺聖子さん

 6月6日、芥川賞作家で文化勲章も受章した、田辺聖子さんが亡くなった。新聞各紙は死亡記事の外に評伝を掲載し、大きく報じたが、そこには「カモカのおっちゃん」シリーズという、「週刊文春」に長期にわたって連載された軽妙なエッセーが言及されていた。

 その中でも私が特に注目しているのは、熱心な新聞読者であった田辺さんが、新聞に対する評価を行った「ヒアサ新聞」と題した回だ(単行本・文庫本『女のとおせんぼ』所収)。日経・毎日・読売・朝日がとりあげられている。田辺さんが、朝日の記事は面白いと言うと、カモカのおっちゃんは、戦中・戦後の朝日について、次のように指摘したという。

 「朝日新聞は、戦時中の記事、毎日より勇ましゅうて派手で威勢よかった。庶民は『みい、朝日読んでたら、気ィ大きゅうなる』いうたもんです。『赫々(かっかく)の武勲、必死必中の体当り、敵大混乱』なんて書いて、庶民を嬉しがらせとった。毎日はわりと地味でしたな。朝日が派手で、みな朝日の記事がおもしろい、いうて人気あった。」「名前も変えんと、戦中戦後、同じ名ァで、よう新聞つづけてる思うわ。新聞ほどアテにならんもんおまへんねんデ。」「社名でも変えて、日朝(ひあさ)新聞とでもして再出発したんならエエが、前々通りの名ァであいかわらず社会の木鐸(ぼくたく)気分でいるのを、おもろいというのは、警戒すべきことにこそ」-この話は、メディア学者、山本武利氏の著書『朝日新聞の中国侵略』でも、紹介されている。

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