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【日本の未来を考える】低金利経済、2つの「地獄」 学習院大教授・伊藤元重

 さて、構造的な低金利が続く中で、マクロ経済政策運営はますます難しくなる。体温が低い経済では、ひとつ間違えるとデフレに陥る危機と背中合わせだ。日本はすでにそれを経験した。欧州などもそれを警戒している。これ以上大胆に金融緩和をする余地が限られている日本にとっても、デフレに逆戻りすることへの警戒が必要だ。先が見通せない米中貿易戦争などは、そうしたデフレショックにつながる危険性を持っている。

 困ったことに、低金利経済にはもう1つのリスクがある。低金利が株や不動産の価格を引き上げ、過剰な債務を生み出すことだ。日本企業で過剰債務が話題になることはないが、米国や中国の企業の債務の膨張はリスク要因となっている。ジャーナリストのマーティン・ウォルフ氏は、デフレへの陥落を氷の地獄、バブル崩壊や負債リスクのことを灼熱(しゃくねつ)地獄と呼んだ。どちらの方向に転んでも大変なことになる。異なった2つの危険を抱えているというのが現在の経済状況であるが、それだけ政策判断が難しいことになる。 (いとう もとしげ)

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