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ニュース コラム

【主張】香港の議会占拠 自由求める声に耳傾けよ

 この殺伐とした香港の光景を22年前に誰が想像したろう。

 中国への身柄移送を可能にする逃亡犯条例の改正案をめぐり、撤回を叫ぶ学生らが議会である立法会を一時占拠した。

 香港の主権が1997年7月1日に英国から中国に返還された記念日に起きた。この日は平和的な抗議デモも55万人に達した。

 「一国二制度」の下で、香港に認められた高度自治をこれまで中国は踏みにじってきた。改正案はその象徴であり、香港市民の怒りは当然である。

 香港政府の高官は改正案を来年7月に廃案とする方針を示した。だが、改正案に反対する香港市民は、改正案の即時完全撤回を求めて抗議デモを繰り返している。

 強権と抗議の負の連鎖を絶つには、香港、そして背後にある中国当局者が、自由を渇望する市民の声に真摯(しんし)に耳を傾けることだ。

 学生らの議会突入では警官を含む負傷者も出た。林鄭月娥行政長官は議場占拠をとらえて「違法な暴力行為だ」と非難した。議場の占拠や破壊は権力の側が正当な要求まで弾圧する口実にされかねない。一般社会の理解も得にくい。どうか賢明に対処してほしい。

 こうした改正案に端を発した香港市民の抵抗に対し、国際社会は正面から向き合っただろうか。

 大阪での20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)を前に、抗議活動を呼びかける団体は、香港の現状をG20の議題とするよう訴えてきた。議長役の安倍晋三首相は、中国の習近平国家主席との会談で、一国二制度の下で「自由で開かれた香港の繁栄が重要だ」との認識を伝えた。

 だが、G20の枠内で習氏を前に堂々と香港の高度自治が討議された形跡はない。

 G20を前に中国外務省の高官は香港問題について、「議論することを許さない」と警告した。会議の円満な運営と引き換えに中国の脅しに日米などが妥協したのであれば、あまりにふがいない。

 G20討議の重圧から中国が逃れたことで、香港での抵抗が徹底的に弾圧される可能性もある。国際社会が結束して監視したい。

 香港情勢について、中国は「内政問題だ」として外部の介入を拒む。だが、自由と民主主義、人権を普遍的価値と認識する国・地域にとり、香港の現状に関与を怠ることは許されない。

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