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【風を読む】教職の誇りと魅力取り戻せ 論説副委員長・沢辺隆雄

 世界で一番、勤務時間が長いのに、授業に使う時間は平均以下。経済協力開発機構(OECD)が行った教員の指導環境をめぐる調査で、日本の先生の課題が改めて明らかになった。

 調査はほぼ5年ごとに行われ日本の中学教員の仕事時間は週56時間で前回より延びた。調査に参加した48カ国・地域で最も長い。平均の約38時間を大幅に上回った。ところが授業に使う時間は少ない。「課外活動の指導」7・5時間(平均1・9時間)、「一般的な事務業務」5・6時間(平均2・7時間)など授業以外の仕事が多い。

 欧米などは事務職員やカウンセラーらサポートスタッフとの分業が徹底している違いがある。文部科学省が行った調査でも残業時間の長さが課題で、部活動の指導を外部のスポーツ指導者に任せるなど、授業に専念できる態勢整備を進める方針だ。だがそれで解決できるか。そう簡単ではなさそうだ。

 日本の教育事情も知るOECDのシュライヒャー教育スキル局長は、勤務時間の長さは、日本では他の多くの職業にも当てはまると指摘する。その上で日本の特徴は、教職では強みでも弱みでもあると言う。強みとは、部活など授業以外でも生徒らと深く交流し、関係を構築できることだ。国際学力調査の好成績も踏まえ、日本の教員は誇りを持つべきで「とてもいい仕事をしている」と言う。

 分業の英国の例を挙げ、仕事の「幸福感」が、教員も、心理士らサポートスタッフも低い傾向がある課題を指摘する。分業では、全人的な教育に関わる機会が少ないことが要因のようだ。日本の先生たちがハッピーになれず、やる気を失っては元も子もない。

 調査では、指導で「生徒の批判的思考を促す」ことができていると思う教員の割合が低いほか、生徒の秩序を乱す行動をコントロールする自信があると答えた割合が低い課題も浮かんだ。

 局長はあれもこれも教職に求めすぎる日本の風潮に言及し、授業以外の教員の負荷を減らす必要性を指摘する。そして教員の「質」に予算をかけ、若い人材が教職に進みたいと思えるよう「教職の魅力を財政的にも知的にも高めなければならない」と指摘する。教員について報じるわが身を含め社会全体で教職の魅力向上を考えたい。

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