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【スポーツ茶論】練習で培う習性の重み 蔭山実

全日本大学野球選手権の決勝で佛教大を破り、喜ぶ森下暢仁(左から2人目)ら明治大ナイン=6月17日、神宮球場(桐原正道撮影)
全日本大学野球選手権の決勝で佛教大を破り、喜ぶ森下暢仁(左から2人目)ら明治大ナイン=6月17日、神宮球場(桐原正道撮影)

 平成から令和に移るさなか、一人の人物に光が当てられた。戦前から戦後にかけて慶應義塾の塾長を務めた小泉信三である。上皇さまが皇太子の時代に、学問やテニスを通じて家庭教師役を担ったことでも知られるからだ。

 その小泉の信念で、いまこそ必要だと思うものがある。「スポーツを通じて精神的習性を獲得し、それを大切にすること」。精神的な習性には、練習などの時間を守ることや潔き敗者であることも含まれるといえば、身近に思えるかもしれない。

 「練習は不可能を可能にする」は小泉の言葉として知られるが、これも体力や技術の向上だけを指しているわけではなかった。同時に、スポーツで得た習性を精神的な能力として向上させることの大切さを訴えていたという。

 正義と思えば行動に移す。人にしてほしいと思うことを人に行う。小泉がとくに好んだ習性といわれるが、それを当たり前に行動できるようになるまで実践を繰り返す。スポーツはそうした心がけの源の一つなのである。

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 慶大野球部の監督だった前田祐吉さんは現役時代に、ある医療施設で患者を前に行われた試合で登板したことがある。不運にも敗戦投手となったが、勝った相手に楽しそうに拍手を送る患者の姿を見て、打たれたことに感謝したという。野球を通じた生き方のありようとして、これもスポーツから得られる精神的な習性の一つだろう。

 小泉がスポーツにおいて、身体の鍛錬や活発な精神を養うだけでなく、こうした精神的な習性に重きをおくようになったのは、テニスで選手や部長として活躍したことにあった。慶大卒業後は経済学部の助手となり、留学先の英国では地元のテニスクラブで日英交流に努める。帰国後、教授をへて経済学部長となったが、そのときもテニス部員と過ごすことに時間を割き、部員を激励するとともに熱心に指導にあたったそうだ。

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