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【主張】露の記者釈放 言論封殺はもはや通らぬ

 厳しい報道・言論統制を敷くロシアのプーチン政権が、世論に配慮して行動を改めた異例のケースである。

 汚職追及で知られたロシア人記者が麻薬所持の容疑で警察に拘束され、数日後に放免された。中央3紙がそろって1面に抗議声明を出すなどし、社会的に大きな反響を呼んだ結果だった。

 強権統治に隷従しがちだったロシアの世論に変化が起きていることを、プーチン政権は今回の一件から学び取るべきだ。

 ロシアのインターネットメディアに所属するゴルノフ記者が一時拘束された。同氏はモスクワ市や警察の腐敗、特に葬儀やごみ処理に絡む汚職を暴いてきた。

 ゴルノフ氏の拘束に対し、メディア関係者らは「弾圧が目的だ」と反発の声をあげた。中央3紙は1面に「私、私たちもゴルノフだ」と大見出しを掲げ、連帯を表明した。ロシアのマスコミでは前例のない勇気ある行動である。

 一般市民も連日の抗議デモを行い、コロコリツェフ内相は11日に捜査が誤りだったと認めた。

 プーチン政権は、主要テレビ局をはじめとするメディアの統制を推し進めてきた。プーチン氏が大統領に就いた2000年以降、ロシアでは30人近い記者が殺害されており、大半が未解決だ。

 これら事件の真相は不明だが、異論を許さない風潮をつくったのはプーチン政権にほかならない。今回の記者拘束への批判は、言論封殺をもはや容認しないという社会のメッセージだろう。

 人々は、麻薬を仕込んで容疑を捏造(ねつぞう)した警察の手口にも怒りの声を上げた。権力に対する監視が弱いために治安機関が腐敗し、その専横ぶりは市民生活や企業の活動をも脅かしているのだ。

 プーチン氏は、経済成長を約束して強権統治を正当化する開発独裁型の政権運営を続けてきた。しかし、14年のクリミア併合後は、体制の硬直化に米欧の対露制裁が重なり、経済の低迷が深刻だ。民主主義の風を入れなければ発展の展望がないことを、多くのロシア人が認識し始めている。

 ロシアでは3月、「政権への不敬とフェイク(偽)ニュース」を禁じる新法が施行された。報道や言論への統制の手が緩められたわけではない。考えを改めねば、政権は手痛いしっぺ返しを受けることになるだろう。

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