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ニュース コラム

朝晴れエッセー5月月間賞は東京の斉藤さん「最後の親孝行」に

 眉村 話の展開の仕方がきびきびしていて、よく書けています。

 丸橋 今回は、遺品整理に介護、認知症と、難しいテーマの作品がそろいましたね。

 玉岡 でも個人の感傷におぼれず、家族の姿が描かれていてよかったです。“書く”ということは、悲しみから前に進むための行為でなければいけませんから。

 丸橋 関東方面からの掲載作品も増えました。

 玉岡 「海ほおずき」のような、地域色のある作品をこれからも期待したいですね。

 丸橋 では月間賞を決めましょう。

 玉岡 「最後の親孝行」はどうでしょうか。読者の共感を呼ぶだけでなく、余韻を味わわせてくれる作品でした。

 眉村 筆者の涙をこらえている感じが、そうさせるのでしょう。

 丸橋 それでは「最後の親孝行」にしましょう。

 ≪受賞作≫

 ■斉藤悦子さん 最後の親孝行 【3日掲載】

最後の親孝行
最後の親孝行
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 今年はどこで咲いているのだろう。

 桜の花は、空から亡き人たちが舞い降りてきて咲かせているのだと何かで読んだことがある。だからこんなにも美しく、儚(はかな)いのだろう。

 末期がんだった母と同居するために選んだこの家は、窓から公園の桜がよく見える。「春には、家でお花見ができるね」。そう話しかけたとき、母は悲しそうに笑い返事をしなかった。もうここから桜を見ることはないだろうとお互いわかっていたけれど、私はそれを認めるのが怖くて、一緒に見る桜に希望をつないだ。わずか1カ月だったが一緒に暮らせた時間は大切な宝物になった。

 新元号が発表されたよく晴れた春の日。「よし。今日しかない」とずっとあの日のままだった母の部屋の片付けを始めた。最後に着ていた服を洗濯し、桜の花びらが時折舞い散ってくるベランダに干すと、母の姿がそこにあるようで涙があふれた。

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