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【直球&曲球】春風亭一之輔 無理せず逃げたって構わない

紳士用日傘の売り場=東京都中央区の松屋銀座
紳士用日傘の売り場=東京都中央区の松屋銀座

 高2の春、1年間続けた運動部を辞めた。上達しない。体がキツい。どう考えても向いてない。逃げるようにして辞めてしまった。

 土曜の午後が暇になり、浅草を歩いてたらふらふらと寄席に入り、落語と出合い、今日に至る。

 以来、そんなに無理しないことにした。無理せず横道にそれればいい出合いがあるかもしれない。

 「やればできる」は、ウソとは言わないが、「やらずに違う道もある」くらいの“逃げの”選択肢もあった方がいい。

 たとえば『組み体操の高層タワー』なんかなくていい。命の危険があるものを無理に子供にやらせることはない。

 達成感を味わえる別の出し物を考えてみようよ。ないことはないはず。ハイヒールやらパンプスは履(は)いたことないからリアルには分からないが、外反拇趾(ぼし)の足に無理に履かせちゃダメだろう。痛けりゃ、やめちゃおう。

 うなぎ、美味(うま)いけど、絶滅危惧種だ。それなのにあまって捨てるほど蒲(かば)焼きにしなくていいよ。ちょっと我慢して今は別のものを食べてもいい。猛暑は男だって日傘の方がいい。見た目がどうこう言ってられない。命には代えられないや。

 それにしても来年の東京五輪。テレビで人がバタバタ倒れるさまは見たくないよ。もう手遅れなのかな? 走り出したら止まらない? ゆるやかな軌道修正くらいできないもんかな。

 子育てだって、いっぱいいっぱいなら誰かに頼ったり休んだりした方がいいし、引きこもりのわが子が心配なら恥ずかしくても相談できる人に泣きついた方がいい。

 みんな本当に70歳過ぎてまで働きたい? 老後のためにこれから2000万円貯(た)められるかな? ほかに何か手はないのかよ。

 あんまり無理したくないから、選挙で選ばれた無理すべき人たちには今一生懸命無理していただいて、私たちが無理しなくていいような別の道をつくってもらいたい。

 無理なお願いとは思いたくない。タワーの最下段にはわれわれがいるんだな。

【プロフィル】春風亭一之輔

 しゅんぷうてい・いちのすけ 落語家。昭和53年、千葉県生まれ。日大芸術学部卒。平成13年、春風亭一朝に入門して朝左久、二つ目昇進時に一之輔を名乗る。24年、21人抜きで真打ちに抜擢(ばってき)。古典落語の滑稽噺を中心に、人情噺、新作など持ちネタは200以上。

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