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【スポーツ茶論】「黄金世代」の輝きは不変 北川信行

播戸竜二氏
播戸竜二氏

 暑くなる前だったが、やっぱり半袖姿。本人は否定するかもしれないが、競走馬の名前になったほど、スタイルは徹底している。大阪国際空港にあるカフェで待ち合わせたサッカー元日本代表の播戸(ばんど)竜二(39)は、よく日焼けした顔で軽やかに登場した。

 いわゆる黄金世代の一員。今は日本女子ツアーを席巻している1998年度生まれのゴルファーが脚光を浴びているが、サッカーでは、99年のワールドユースに出場した世代のことを指す。ポーランドで開かれているU-20(20歳以下)ワールドカップ(W杯)の前身の大会である。

 ともあれ、99年のナイジェリア大会で、日本は快進撃を続けた。率いていたのは、フル代表の指揮官も兼任していたフィリップ・トルシエ監督。小野伸二や高原直泰、遠藤保仁ら、後に欧州でプレーしたり、フル代表の主軸となったりした、そうそうたるメンバーがそろっていた。

 1次リーグを2勝1敗で通過した日本は決勝トーナメントでポルトガル、メキシコ、ウルグアイを撃破。決勝でスペインに0-4で敗れたが、「世界2位」は68年メキシコ五輪の銅メダルを上回る日本サッカー界の金字塔だった。播戸は途中出場ばかりだが、5試合に出場した。

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 取材を申し込んだのは、5月18日に開かれた令和初の大阪ダービーについて聞くため。ガンバ大阪とセレッソ大阪の両方でプレーした播戸は、どちらのチームのことも語れる貴重な存在だ。

 「僕の中で大阪ダービーは日本一のダービー。両チームとも順位をもっと上げ、互いに誇りを持って戦ってほしい」。あえて苦言を呈した播戸の話題は、次第にJリーグの将来像へと移っていった。

 昨季限りでFC琉球を退団した播戸は昔から、異業種交流などに興味を持つ特異な存在だった。セレッソ大阪に在籍していたころには、自ら交流会を主催。引退後にコーチや監督を目指す選手が多い中、「指導者にはならない」と言い切り、「日本のサッカーを盛り上げたい気持ちは強い。だったら、クラブを経営したり、Jリーグの組織に入ったりする方がいいのでは…」などと話していた。

 播戸が危惧しているのは、新規ファンの開拓。「スマートフォンで試合が見られる時代になった。便利になったけど、関心のない人にも見てもらいたい。そのためには、テレビの地上波や新聞で取り上げてもらう必要がある」。播戸が渡り歩いた、あるチームではメディア査定を導入していた。1年間でどれだけテレビや新聞で報じられたかを競い、賞金が出る仕組みだったという。播戸は「だから、選手も取材にしっかりと答えていた。人気につながる好循環を生んでいた」と強調した。

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 現在は講演活動などで忙しい播戸だが、正式な引退表明はしていない。「選手はいろんな人の思いを背負ってプレーするもの。背負える選手がうらやましい」と口にした。

 ちょうど20年前に世界を驚かせた黄金世代は今年、大半が40歳になる。キラキラした才能の持ち主だった小野や遠藤は現役を続け、「スシボンバー」と呼ばれた高原は沖縄でJリーグを目指すクラブを立ち上げた。ガンバ大阪で播戸と同僚だった加地亮はカフェを経営している。

 黄金の輝きは不変だという。時代に流されない魅力があるから。半袖姿の泥臭いプレーが共感を呼んだ播戸も、ぶれずに走り続けるだろう。ちなみに、競走馬の名前はずばり、ハンソデバンドという。

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