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【正論7月号】天安門事件から三十年 《反共鼎談》民主化は不可能だ 中国人はチャンス失った 評論家・石平/静岡大学教授・楊海英/産経新聞外信部次長・矢板明夫

 矢板明夫 共産党一党独裁である限り、中国は大きく変わることはないでしょう。その一党独裁の歴史をみると、まさに権力闘争の歴史であって、新しい挑戦者が出てきて既存の勢力と力が拮抗してくると、世論を利用したりして国民を巻き込んで政敵を倒そうとするわけですね。30年前の天安門事件もまさに共産党内の改革派と保守派との激しい衝突があって、改革派が学生たちを利用したという側面もかなりありました。

 当時、学生リーダーだった王丹さんとはつき合いが長いのですが、彼は天安門事件の後、しばらく刑務所に入って、98年に米国へ亡命しました。私は当時、ある雑誌の仕事で米国に着いた直後の彼にインタビューしたのですが「あなたが一番、尊敬する人は誰ですか」と聞いたら「周恩来です」と答えたのです。私はビックリしました。共産党の刑務所から出てきたばかりなのに、ですよ。やっぱり洗脳はすごいと思いましたし「共産党内に周恩来のように立派な指導者が出てくれば中国は良くなる。我々は汚職官僚を倒すため、立派な指導者のために戦っていたんだ」と、当時の学生のトップリーダーまでが思っていたわけです。まさに共産党内の権力闘争に利用されたということに他なりません。さすがに王丹も洗脳が解けたようで今はそうは思っていないようですが。

 そう考えてみると、●(=登におおざと)小平が改革開放を行って経済が良くなり、しばらく激しい権力闘争はありませんでしたが、習近平の登場でまた雲行きが怪しくなっています。振り返れば毛沢東の文化大革命も学生や若者を煽って劉少奇を倒した権力闘争だったわけで、共産党の一党独裁体制である限りは今後、また形を変えた天安門事件が起き続けるのではないかと思います。

 ■消された趙紫陽

 楊 私は中国の大学で助手だったころ、授業するよりも「民主化とは何か」ということを学生に対して熱弁していました。そうすると文化大革命時代の反右派闘争と「下放」を経験した老教授がやってきて「それは危ない。お前たちは共産党の本当の怖さを知らない」と言うのです。老教授が「一生を投げ捨てることになる。場合によっては殺されるぞ」と言うのを、「そんなことはあり得ない」と聞き流していたのですが…。

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