PR

ニュース コラム

【新聞に喝!】過去の再検証甘い朝日 元東京大学史料編纂所教授・酒井信彦

 5月10日、朝日新聞朝刊オピニオン欄に掲載された、山腰修三・慶応義塾大学准教授による「メディア私評」の見出しは、「過去の検証 『批判』の力 報道自身にも向けよう」であった。

 まず、「ニュースは単に『現在』を伝えるだけのものではない。『過去の検証』もまたニュースであり、ジャーナリズムの重要な活動の一つである。」と、過去の報道の再検証の重要性を指摘する。しかし、「とはいえ、過去を検証し、適切に批判することは、ジャーナリズムにとっても一定の困難を伴う営みである。」と、検証と批判が容易ではないことにも言及する。

 では、どのような検証と批判の例があるかといえば、「朝日新聞は、『新聞と戦争』や『原発とメディア』といった連載で、かつて満州事変を正当化した、あるいは戦後原発を推進してきた自社の報道を批判的に検証した。こうした文化が日本のジャーナリズムでそれほど共有されていないのは残念である。」と、朝日新聞による2つの具体例を、好意的に挙げた。山腰氏は、朝日新聞に掲載された文章だから、朝日の例を取り上げたのかもしれないが、「新聞と戦争」については、私は大いに異論を唱えたい。

 「新聞と戦争」には、軍用機製造に直接関与していたことなど、確かにこれまで知らされなかった事実が、多く紹介されている。ただし、巻末の、今は亡き井上ひさし氏によるコメントは、以下のようであった(刊本560ページ)。「新聞はあの戦争を正義の戦争だとうたった。国家にとって不都合な情報は、情報局や軍の報道部に抑えられて報道しなかった。それらの点で新聞には、いわゆる戦争責任があると言える。だが、あのときの新聞に『この戦争は間違っている』という批判が出来ただろうか。当時の私自身の感覚に照らせば、無理だったと思う。軍部の力は強く、『全体戦争』の状況下では新聞も国家に動員されていたからだ。」

続きを読む

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ