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【記者発】「民意」という方便 大阪社会部・宝田良平

大阪都構想についての会談後の会見を終え、握手する大阪維新の会代表の松井一郎大阪市長(左)と公明党大阪府本部の佐藤茂樹代表=5月25日、大阪市北区(沢野貴信撮影)
大阪都構想についての会談後の会見を終え、握手する大阪維新の会代表の松井一郎大阪市長(左)と公明党大阪府本部の佐藤茂樹代表=5月25日、大阪市北区(沢野貴信撮影)

 「民意」という言葉が難しい。大阪では4月の統一地方選に府知事・大阪市長のダブル選、衆院の大阪12区補欠選が重なり、現在も堺市長選が戦われている。選挙が多く、民意というフレーズを耳にする場面が増えた。

 大阪の一連の選挙で躍進した地域政党「大阪維新の会」は、創設者の橋下徹氏が局面ごとに首長選を仕掛け、民意に推進力を求めてきたこともあって、民意の申し子のようなイメージがある。

 ただ維新の場合、対立をあおって黒白をつける政治手法を問題視するメディアや政敵から、選挙結果がストレートに評価されず、しばしばポピュリズムと揶揄(やゆ)されてきた。このあたりの方便について、4月のダブル選で知事から大阪市長に入れ替え出馬した維新代表の松井一郎氏はこんなふうに批判していた。

 「メディアが一斉に反対している。また民意頼みかと。でも彼らは、沖縄については『民意を大切に、民意を大切に』って言うんです」

 ダブル選は大阪市を廃止して特別区に再編する大阪都構想が最大の争点だった。結果は維新が圧勝。府議選でも過半数を確保した。

 大阪市議選でも党勢を拡大したが、過半数に2議席足りなかった。都構想の住民投票実施には市議会の承認も必要になるため、反対派の中心だった公明党市議は選挙直後もファイティングポーズを崩さなかった。「市議会では維新が過半数に至っていない。これも大きな市民の民意だ」

 この場合の民意は多数派が決めるという民主主義的な意味とは違い、むしろ少数派の意思を尊重すべきだという自由主義的な使われ方だった。

 しかし選挙時に反都構想を掲げた公明は先月、都構想に賛成し、推進することで維新と合意した。国政選挙で維新と全面対決になることを避けたいという政治的妥協の色彩が濃厚だが、会見で公明府本部の佐藤茂樹代表は「強い民意」を転換の理由に挙げた。

 その場には先に自由主義的民意を強調した公明市議も同席。記者から「納得しているか」と問われると「当然同じ思いです」と答えた。

 民意とはかように多義的であり、何も言い表していない気さえする。民意が強調されるとき、その意図は別のところにあると思った方がいい。

【プロフィル】宝田良平

 平成13年入社。和歌山支局などを経て大阪社会部。現在は「大阪維新の会」が掲げる大阪都構想をめぐる動きや行政課題を中心に取材している。

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